SIMPLE

シンプリストになりたいのです

映画・コーダ あいのうた

2023年ももう最終盤。仕事納めをされた方も多くおられるでしょうし、そうでない方もなにかしらで”締め”や”納め”作業をされたのではないかなと思います。X(旧Twitter)でフォロイ様たちのポストでは 走り納め ですとか ラーメン納め、カフェ納め なんていろいろ納めているようで面白いなぁと思いながら拝見していました。

かくいう私はといいますと、専業主婦ですので仕事はしていませんし、外食もあまりしませんから納めるほどでもありません。家事は12/31まで続きますし、納めるとしたら何かしら?と考えたところ、映画くらいしか思い浮かびませんでした。たぶん、読書はギリギリまでするかしないか…としそうですし。

そんなわけで今年の映画納めについてネタバレ交えて綴っていきたいと思います。今年最後の映画に選んだのは「コーダ あいのうた」でした。

あらすじ

海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生ルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼いころから家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。

新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。

家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーのは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが…。(映画ドットコムより引用)

eiga.com

感想


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フランス映画「エール!」のリメイク映画である「Coda」。映画情報を調べるまで、リメイクとは知りませんでした。「エール!」も気になっていた作品ですのでいつか時間があれば見たいもの。

タイトルのコーダ。音楽用語のCodaは終結部を意味しますが、大文字で表記のCODAだと「Children Of Deaf Adults=”耳の聞こえない両親に育てられた子ども”」のことを意味します。この映画のコーダは後者のCODAを指しているわけですね。

両親と兄がろうあ者であり、漁業でもそのほかでも家族は主人公ルビーに頼り切りになってしまう。そんな中でルビーに新しい夢ができ、しかしそれがまさかの耳が聞こえない家族では理解することができないであろう歌。両親の理解を得ることも、自分の夢を追いかけることも難しい、そんな板挟みの状態。これだけ聞くとなんだか重苦しそうな作品という印象じゃありませんか?

でも全然、そんな感じじゃないんです。もちろんぶつかり合うシーンやシリアス展開もありますけれど。でもそうじゃないんです。今までいくつかろうあ者の方をテーマにした作品(ドラマやアニメ)を見てきましたけれど、どれも「かわいそうな存在」として描いているものが多かったんです。

でもCodaはそんなことありません。当たり前ですけれど、普通の人間として描いているんです。むしろその普通さを誇張している感はありましたけれど。下ネタだっていうし、性行為だってする。だって人間なんですから。何か障がいをもっている方を描くときはまるで聖人君子のように描かれていることが多いように感じますが、これはそうじゃないんですよね。そこが個人的には好きだなと思いました。

あと何より演出がとてもすてきなんです。ルビーの歌の発表会のシーンがありますが、演出で音がしばらく無音になるんですね。両親と兄の世界を少しだけ体験することができるんです。これ、しばらくどう受け止めていいのかわからなかったんです。

ルビーの歌声はこんなに素晴らしいのに聞けない家族が「かわいそうだ」と思えばいいのか?いや、きっと違う気がする。聞こえなくても、彼らが受け取っている情報はたくさんあって、手話だから周りを気にすることなく夕食のメニューの相談をできるし、聞こえなくても、他の人がきいている表情でいかに素晴らしいのかを知ることができる。そういったことに気づいたときに、私はまだまだ表面しか見られていないのだな…と感じました。

作品全体としては、実際のろうあ者の方やCODAの方はこんなにうまくいってないよ!と思う人もいるんだろうなぁとは思いつつも、個人的には素晴らしい作品だったのではないかと思います。お父さんがルビーの歌声を感じ取ろうとするシーンは感涙でした。終わり方もさっぱりしてて、個人的にはすごく好きです。

2023年映画まとめ

今年1年のなかで観た作品すべてをこのブログで紹介したわけではありませんが、こんな感じでいくつかの作品は紹介してきました。来年も綴れるものは綴っていきたいと思います。綴っていない作品…というのは、まぁ個人的にはあまり面白くないと感じたり、そもそも感想がないというような作品が多いです。「面白くない」というのはまだ心が動いています。不快だ、とか、納得いかない、とかね。でも感想がないという作品は、本当に時間を棒にふってしまったなぁ…と思うことが多くてですね。さらにブログでその愚痴を描くのもいかがなものか…と思いまして書いていません。

ただ書いていない=だめだったというわけではなくて、自分の中でまだ消化できていないから書いていないという作品もあります。そういった作品はたぶん、再度視聴したら書くことになるかな?と思っていたり。

そんなこんなで2023年。54本の映画をみました。2022年が72本でしたので、随分と減ってしまいましたね。しかも今年は毎年公開している系のアニメ映画を見ることが多かったので、あまり映画を観た1年だったな!という感じはしていません。そんな私ですが、今年1年で観てよかった!と思えた作品を2つご紹介。

まずは「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」。

yu1-simplist.hatenablog.com

これはたぶん生涯の中で記憶に残る映画かなと思っています。いつか見よう見ようでやっと見たのですけれど、見てよかった。

お次はコメディを。「サマータイムマシン・ブルース」。

yu1-simplist.hatenablog.com

やぁ…しょうもなかったー(褒めてる)。これくらいのおバカな作品をたまに猛烈に見たい!と思うんですよね。数年後には忘れているかもしれませんが、その時はまた頭空っぽにしてみたいなぁって。

もちろんこのほかにも刺さる素敵な作品はたくさんあったんですけれど、書き出すときりがないんで今回はこのへんで。