よく読書家(読書好き)になるには幼少の頃から本を読んでいないといけないといったようなお話を耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。
私は「幼少のころから本を与えられて生活してきたか?」と聞かれると「そんなことはない」ですし、だからといって「あなたは読書家か?」と聞かれるとこれまた「そんなことはない」となるわけです。本は読みますけれど、読書家かと聞かれるとそこまで読んでいないというのが個人的な感覚です。
ただ数が少なかったからこそ、幼少のころに読んだ葉祥明さんの絵本や、童話はタイトルこそ覚えていなくとも内容はなんとなく覚えています。量を読むようになった図書館司書時代以降の方が最近だというのにあまり内容を覚えていないのが悲しいものです。
今回は好きな小説家について、少しふれたいと思います。
森見登美彦さん
小説家で誰が好きですか?と聞かれて真っ先に浮かぶのは森見登美彦さんです。初めて読んだ作品は「夜は短し歩けよ乙女」で大学生くらいの頃に読んだように記憶しています。タイトルと表紙の絵がとても魅力的に感じて、いわゆるジャケ買いしたんです。
↑たしかこのデザインです。
森見節とわれるあのリズミカルな文章が心地よくて、ずっと読んでいられる。そんな感覚は初めてでした。
それから森見さんの他の小説はどうなんだろう?としらみつぶしに読むようになり、「太陽の塔」「きつねのはなし」「宵山万華鏡」「有頂天家族」「四畳半神話大系」「竹林と美女」…とあれもこれもと読んでいくようになりました。
森見さんのかかれる物語は、パラレルワールドのように場所、人物、団体、イベントが様々な作品でリンクしています。途中「あ、これ〇〇にも出てきた人だ」というのを発見するのも面白くて、余計にのめり込んでいった感じですね。
今現在、紙媒体で本を購入するのは控えていますが(積読が55冊もありますので)、森見さんの小説だけは購入していいと決めています。
とはいえ、ここ数年の小説は読めていないのでまた森見ワールドに降り立って、その世界に浸りたいものです。
青山美智子さん
お次は青山美智子さん。
以前、「月の立つ林で」という小説を読んだときに紹介した方です。
青山さんの小説で一番最初に読んだ小説は「お探し物は図書館まで」でした。本屋大賞候補のノミネート作品であり、当時図書館司書であった私としては、やはり気になってしまいますよね。実際の図書館業務とは異なる点もありましたけれど、それもフィクションとして楽しむことができました。
森見さん同様、登場人物がリンクしていくという手法で物語が紡がれます。そのリンクは他の書籍からもありますし、章ごとにリンクしていく…という二重のリンクです。前者の方は「あっ!」という発見があって面白いのですけれど、後者の方が続くと次は誰だと犯人当てゲームが続くような感じになってしまうという点がたまにきずです。
はじめて読んだときはそれもドキドキなのですけれど、青山さんの作品を殆ど読了している私としては段々展開がよめてきてしまうので…。全く違う手法で書かれた作品も読んでみたいなぁ…と思う次第です。
伊与原新さん
伊与原さんで一番最初に読んだのは「八月の銀の雪」でした。科学と物語をうまくMIXされた物語をかかれるのですけれど、そのなかでもこの「八月の銀の雪」をはじめて読んだときは、なんて美しい物語をかく方だろうと思いました。
地球のコア、珪藻、風、雪…ありふれた、すぐそこにあるものでも見方を変えれば、知識があればこんなにも深まるものなのだと知りました。
ちなみにですけれど、伊与原さんの作品はどれも素晴らしいですけれど、その中でも「梟のシエスタ」が好きだったりします。
梟と表現されている人物が良い感じのイケオジでして。大塚明夫さんか、はたまた土師さんか…頭が自然に先生の声にアテレコしてくれてとても幸せなひとときでした。
伊与原さんはまだ好きになってから日が浅く、全ての著書を拝見できたわけではないのですけれど、「リケジョ!」と「オオルリ流星群」は近々読みたいなぁと思いつつ、なかなか手が回っていない現状です。
原田マハさん
「暗幕のゲルニカ」という小説を初めて読んだときに、とてつもない衝撃がはしったのを今でも覚えています。
それまで原田さんの著書は難しそうだ…と読んだことがなかったのですけれど、縁あってこの「暗幕のゲルニカ」を読むことになりました。主人公はピカソに…いえ、ゲルニカにまつわる2人の女性。読み終えて一番に思ったことが、「描かねば」でした。
模写をして
色を入れて。
今までも読書からイメージを受けて描きたいと思うことはありましたが、ここまで強い衝動は初めてでした。読み終えて3日程、取りつかれるように作業をしていたことを覚えています。
まだ「暗幕のゲルニカ」と以前紹介した「リボルバー」の2作しか、原田さんのかかれた著書は読めていません。
しかしながら原田さんの著書ははずれないな…と個人的にはとても信頼しています。ただとてつもなく体力が持って行かれる作家さんでもありまして…年に1冊読めたらいいかな…と思いつつ、積読している「シヴェルニーの食卓」「たゆたえども沈まず」「生きるぼくら」他2冊に手を伸ばそうとしている私です。
小川糸さん
最後に紹介するのが小川糸さん。ちょうど今読んでいる著書があって「やっぱり好きだな」としみじみしています。
小川糸さんではじめて読んだ作品は「ライオンのおやつ」でした。30代で癌になった女性の終末について、優しく、暖かく描かれた作品です。
実ははじめて読んだ…と書きましたが、厳密には違いまして。実は最初に手に取ったのは「ツバキ文具店」。NHKだったかで多部未華子さんが演じられていたドラマが素敵だったので、手に取ったことがあるのですけれど、結局ドラマで済ませて読むことはありませんでした。
それから数年。改めて「ライオンのおやつ」を読んで、暖かい、まるで真綿でくるまれたような柔らかい感覚の文章を書かれる方なのだと知り、改めて「ツバキ文具店」そして続編の「キラキラ共和国」を読みました。
当時の自分に一言いえるなら「ドラマも素晴らしいが、小説も素晴らしいから読むのだ」と教えてあげたいものです。
ところで今読んでいる小川糸さんの著書はエッセイです。小川糸さんと言えば、エッセイのイメージがあります。何故なのかはわかりませんが、よりよい暮らしにまつわる、あたたかみのあるエッセイ…と想像すると小川糸さんが浮かびます。読んだことなかったのですけれどね。不思議です。タイトルなどからにじみ出るあたたかみでしょうかね。
まとめ
ざっくりと私がすきな小説家をあげてみました。もちろんこの他にも素敵だな!と思う作家さんはたくさんおられます。垣谷さんやレイブラッドベリなど今回は紹介できなかった方もおられるので、また機会があれば追々❀
宝石を少しずつ宝石箱にコレクションして数を増やしていくように、好きな作家さんを1人、1人と増やしていくことができれば幸せだなぁと思います。