SIMPLE

シンプリストになりたいのです

本・たべる生活

思春期を過ぎて以降あまり良い食生活とはいえない生活を送っていた私ですが、夫と暮らすようになり格段に「人間らしいもの」を食べるようになりました。その分、太りましたけれど。

以前、土井善晴先生の「一汁一菜でいいという提案」という著書を拝見しました。

yu1-simplist.hatenablog.com

そのときにも少しはなしたのですけれど、実家の母は父が食事をする際は必ず、ご飯・汁物・漬物・そしておかずを2品程出していました。惣菜などはほとんど使わず、食材からいろいろ作っていたようです。今にして思えば、そういう「当たり前」は私にとって少しのデメリットと大きなメリットであったような気がしています。

今回は「食べる生活」という著書について感想を綴りたいと思います。

たべる生活

群ようこさんが書かれた「たべる生活」。群ようこさんといえば、以前「たりる生活」という著書を拝見いたしました。「たりる生活」は前期高齢者となり生活をサイズダウンするために引っ越しすることを決意し、二十年以上部屋に溜め込んだあれこれを処分しなければならなくなったご自身の引っ越しエッセイでした。

yu1-simplist.hatenablog.com

そちらが興味深かったので、別の「たべる生活」を拝読してみたというわけです。

栄養バランスを考えつつも、料理に手間をかけるのは苦手―「最小の労力で最大の効果」をテーマとして揚げつつ、日々の食、だしと道具の関係から夏バテ、糖質制限、外食、子どもの食育…。生活の中で「食」と「健康」を明るく考えるエッセイ

(Amazonの商品紹介より引用) 

いくつか気になったテーマがあったので、それぞれに感想を綴りたいと思います。

食育

冒頭でもかいたように実家の母は家族のために料理を欠かさない人でした。箸の持ち方や、テーブルマナーであったりを習った記憶というものはからきしありませんが、それでも母なりの食育をしていたのかもしれません。

「そういう「当たり前」は私にとって少しのデメリットと大きなメリットであったような気がしています」

そうかいたのは、デメリットと感じるのは今現在できていない自分に対してマイナスなイメージを持つこと。私も専業主婦のような状態ですが、品目はそこまで多くは作っていません。特に夫用の食事はそれなりに作っていますが、自分一人であれば丼1つで終わってしまうことだったあります。そんなときに、私はなんと怠惰な人間なのだろうかと自責の念にかられるのです。

逆にメリットは、食育という面ですよね。食事は家族と一緒に食べる、箸で器を引きずらないとか…そんなありきたりなものですけれど。

私の知人が家庭料理に関するデータを集めたいと、子どもの友だちや偶然知り合った大学生から四十代までの男女二十人くらいに、「父親、母親が作ってくれた料理で、思い出に残っているもの、おいしかったものは何ですか」と聞いたら、大半の人、特に若者が、「特にない」と答えたという。彼女がびっくりして、「特にないって、どういうこと?」とたずねたら、そのなかで父親が料理を作る家庭はなく、一緒に外食をした記憶はあるという人はいた。また母親が料理を作らなかったり、作ったとしてもいつもレトルトだったり、お金を渡されて食べたいものを勝手に食べていたので、記憶がないと答えたという。

(P9、人間は食べた物でできている より引用)

この文面には著者の群さんも驚かれていたのですけれど、私も驚きました。両親が料理をしない理由は様々で、仕事が多忙であるとか、料理がそもそも嫌いとか、中にはネグレクトに近いような家庭もあるようです。そう考えると私は少なくとも食べる物に困ることはありませんでしたし、誰かの手作りのものを食べることができていましたので、恵まれた環境にいたのだなと気が付きました。

親が作ってくれた料理って、レストランであったりで名前がついている料理もありますけれど、そうじゃない「〇〇を焼いたやつ」「××を煮たやつ」とかが多いんですよね。だから外食先ではなかなか出会えなくて、結局は自分で作るか、実家に帰省したタイミングでリクエストして作ってもらうしかなくて。作り方を聞いて再現しても、不思議とそうはならない。調理器具や、水や、ささやかな違いで全く同じにはならないんです。そういった料理を記憶にあるだけでもいくつかあるのは有難いことなのだなと思います。

ちなみにですけれど、実家では何故かお好み焼きは父が作っていたのですけれど、現在の我が家もそれを継いでいます。私自身お好み焼きを作ったことがありませんが、夫は1人暮らしの頃から度々作っていて、ホットプレートまで持参してきた人です。我が家ではお好み焼きとお鍋は夫の分担として、たまに私も休暇をいただいています。

我が家は子を設けるかはまだ未定ですけれど、もし子宝に恵まれることがあれば、こういったもろもろをうるさくない程度に伝え、その子の「当たり前」になればいいと思います。

なにが正しいのか

未だにYouTubeSNSを流し見しているときに見つけるのですけれど、「〇〇は毒だから食べてはいけない!」っていう論争ありますよね。マーガリンや味の素が良い例といいますか。個人的には食べたくない人は食べなければいいし、食べたい人は食べたらいい。お互いこれにはこんなリスクがあるよと教えてくれる親切はいいけれど、相手がその親切をいらないですと言っているのであれば距離をとるほかないと思っています。

そんな考えの私ですので、〇〇は体に毒だよ!と言われても基本聞きません。味の素も常備しています。自分の人体で実験して、そうであると感じたなら排除しますし、何も感じなければそのまま使います。自身の人体実験の結果、白米、精製砂糖、小麦を多くとると月経時に痛みが増すような気がするのであまり摂りません。でも完全に摂らないわけではありませんし、白米は玄米、精製砂糖は別の糖、小麦は数を減らすようにしました。逆に、動物性たんぱく質を0にし 植物性たんぱく質だけの生活を1ヵ月続けてみましたが、もともと乾燥しやすい私の肌・爪・髪がより乾燥しパサパサになりましたので、動物性たんぱく質はきちんと摂るのが私にはあっているようです。

もちろんそういった情報を遮断しているわけではありません。ただソースのしっかりしない情報は鵜呑みにしない。気になったのであれば、自分の身体に聞いてみるという感じです。

効果が数年後、数十年後にでるかもしれないじゃないか!という声もありますけれど、そんなことを言い出したらキリがありません。中学・高校の頃の教師に「化粧品は石油が原料なんだぞ、お前たちは石油を顔に塗っている」とか「髪を染めると将来癌になるリスクがある」なんて言ってる教師がいました。

www.maff.go.jp

www.maff.go.jp

その教師はこういった媒体からきちんとしらべたのでしょうかね?口から出まかせなんてこと、教師がしませんよね?なんて未だに思ったりします。

だいたい食の情報は変わっていくものだ。私が子どもの頃は、御飯を食べると頭が悪くなるといい出した人がいて、パン食が推奨された。私がひとり暮らしをはじめた頃は、一日三十品目を食べろといわれていた。ひとり暮らしでは当然、三十品目など食べられなかったし、全部を食べたら腹一杯になってしまい、明らかに食べ過ぎる。そのうちその三十品目はどこかへいってしまった。それから肉は体に悪いといわれ、最近は高齢者ほど肉を食べろといわれる。いったい何を信じてよいのやらわからない。

(P22、料理は最小の労力で最大の効果を より引用)

そういえば私が学生の頃は「卵は1日1つまで」なんていう教えがありました。コレステロールだったかが問題だったように思います。けれど昨今では、別に1つ以上食べても大丈夫というのも聞きます。あの頃はダメでも、科学の発展や調べてくれている誰かのおかげで、常識は変わるものです。それなら、下手に構え過ぎず、手放しになりすぎず、適度に付き合えばいいのになぁと思う私です。

夏バテなるもの

細やかな自慢ですが、私は夏バテというものになったことがありません。摂食障害のなかで倒れてしまったことはありますけれど、夏場に食欲がなくて…といったことは経験したことがないんです。

昔はバテるのは「夏バテ」しかなかったのだが、最近は「梅雨バテ」「冬バテ」もあるそうだ。考えてみれば人が一年中バテているような状態になってしまったようだ。おかげさまで私は、いけないと思いつつ甘い物を多めに食べて、これはまずいと反省することはあるが、自分が節制すれば問題ない状態で過ごしている。

(P25、梅雨バテ対策は体を冷やさない より引用)

年がら年中食欲旺盛の私からすると、大変申し訳ないながら夏バテになった人が「食欲無くてさ…」というはなしを耳にするたび、心配しつつもかすかに「うらやましいな…」と思っていました。

私はどうして夏バテにならないのかしらん?と考えてみたところ、やはり幼いころの食生活がしっかりしていたため、体がそれなりに頑丈なのかもしれません。あとアラサーになってからはそれなりに気を使うようになりましたので、それのおかげかなぁと思っています。

甘い物に目がない私ですけれど、実はあまり「冷たい物」に興味がありません。もちろん、暑い暑い外から帰宅して飲む冷えた水は美味しいです。ですが日常的に摂取する水分は基本的に常温です。飲み物を冷蔵庫に冷やしておくということをあまりしません。(長持ちしないので小まめに飲む必要がありますけれど)。またアイスクリームを日常的に食べる方がおられると知ってびっくりしました。アイスはたま~に食べるものだと思っていました。年に3~4個食べたらいい方…かも。お酒も全く飲みませんので、冷たい物を摂取しないのが役に立っているのでしょうか。

夏バテの原因が全て体が冷えているから!食生活!とまでは思ってはいませんが、少なからず役に立っているのかしらんと少し嬉しくなりました。

全体の感想

今あげた内容以外にも調理器具についてや、出汁についてなど、ふむふむと読み進めていくところも多くありました。同時に「それは群さん、野暮ですよ」とつっこみを入れながら読むところもありました。

当然ですけれど食事って毎日のことです。私は1日~2食の生活をしていますし、夫が仕事の日は夕食の準備だけでいいです。ですがお勤めしていたとして、帰ってクタクタな状態で「ご飯を!」なんて言われたら、もうカップ麺食べといて…って思ってしまいます。それにお子さんがいらっしゃるご家庭でしたら毎日3食作るとかそれだけでも大変でしょう。それまたお勤めもされていたりしたらもっともっと大変だと思います。外からは全く見えないですけれど、事情はそれぞれ違うのだとこの著書を通じて実感しました。だから「できていない自分はよくない」と思っている人がもしいたら、それは仕方のないことで責めることではないし、できることからはじめていけばいいんです。一汁三菜を目指そう!じゃなくて、一汁一菜がゴールでいいと思います。

ただお子さんに関しては、もうすこし何かできることが増えたらいいなと思います。子ども食堂を夏休みの間だけでも増やすとか、ボランティアだよりではなく行政でできることがあれば…と。以前、不届きな人が、ども食堂を無料定食屋代わりに使用したり迷惑なことをした結果、その食堂の運営が成り立たなくなり、肝心の子どもたちに届かなくなってしまった…というようなNEWSをみました。当然、困っているのはお子さんだけではなく、貧困問題に年齢は関係ないでしょう。でもなぁ、でもなぁ…と腑に落ちないままグルグルしたのを覚えています。私は料理が得意ではないし、そういった資格があるわけではないのですけれど、何かできることを考える必要があるのでは?と考えさせられました。

とりあえず、今の私にできることは自分自身と夫の食を成り立たせること。今日は豚の角煮を仕込みながら、私にできることってなんだろうって考えてみようと思います。

これはある日の昼食。以前紹介したケチャップもどきを使用したナポリタン。