昔公共図書館で働いていた時のこと。施設内の照明を取り換えた際にのこった枠組みがあまりにも不格好で、モビールをつるしてごまかしていたことがあります。その枠組みがあったのが児童書コーナーでしたので、作成したモビールは日本と海外の童話をモチーフとしました。
かちかち山のタヌキ。
つるの恩返しのツル。
基本的にモビール1本につけたキャラクターは3つ~4つ。『白雪姫』では白雪姫、魔女、小人×2をつくりました。
こちらはアリとキリギリスたち。
なかには1つだけのものもあります。こちらは人魚姫。表から見ると歌を歌う姿、裏から見ると、音を失って泡になっていく姿を表現しました。このほかにも、シンデレラや桃太郎…と合計すると30~40作品くらいのモビールを作成しました。
その公共図書館はもうなくなってしまいましたから、きっとこのモビールたちも既に廃棄されていると思いますけれど。改めて、こういった童謡と触れ合うことができるいい機会でした。
以前「本・むかしむかしあるところに、」という読了記録を綴りました。青柳碧人先生が書かれた『むか死』シリーズの感想ですね。
こちらの3冊は日本の童話である『桃太郎』や『鶴の恩返し』、『金太郎』といった一度は目にしたり聞いたことのある物語がベースとなっているミステリです。日本があるということは…?
そうです、海外バージョンもあります。その主人公はなんと 赤ずきん。赤ずきんが旅をするなかで巻き込まれた殺人事件を解決していくという物語があります。
↑こちらは赤ずきんと狼のおばあさん。
今回は『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』についてネタバレ交えて綴っていきたいと思います。
赤ずきんシリーズ
「むか死」シリーズと同様に、『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』もシリーズ展開されています。
1冊目が『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』
今回読んだ2冊目が『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』です。
赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
まず1冊目の『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』について。こちらは西洋の童話をベースに書かれた連作短編ミステリです。
クッキーとワインをバスケットに入れ、一人で旅をする赤ずきん。頭脳明晰な彼女は何故か不思議な事件に巻き込まれてしまいます。『シンデレラ』、『ヘンゼルとグレーテル』、『眠り姫』、『マッチ売りの少女』をベースに様々な事件が起こります。
現在、橋本環奈さん主演で実写映画(?)化された作品がNETFLIXで観ることができるそうです。
私もまだ予告しか観ていないのですけれど、福田監督の手がける作品ですので、まぁ面白おかしくつくられているのでしょう。佐藤二朗さんやムロツヨシさんなどいつものメンバーが安定の変な(褒めてる)世界観をつくりだしていました。とりあえず、橋本環奈ちゃんかわいい…!
こちらを読んだのは2021年4月でした。当時の感想を確認してみました。
前回の「むか死」シリーズは一話一話独立した物語だったけれど、今回は一話完結型の物語が1冊に渡って続いていく作品だった。赤ずきんの性格に多少イラつきつつ、童話ならではの文体に違和感ありつつも、楽しむことができた。それがフラグだったのか!と思うところもあり、面白かった。
そんなことを思ったような記憶が薄ぼんやりとあります。今回は全く赤ずきんの性格にイラっとすることはありませんでしたので忘れていましたが、前作ではそんなことがあったようです。確かに多少高飛車というか、相手を馬鹿にしたような態度があったような…?でも、作品としては面白かったようですね。
赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。
そして今回読んだのが『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』について。
前回同様にバスケットを持って、旅をすることになった赤ずきん。なんと今回の旅は相棒としてピノキオが。行く先々で起こる殺人事件。『白雪姫』、『ハーメルンの笛吹き』、『三匹の子豚』の登場人物たち。さて、赤ずきんは事件を解決することができるのか。
前回はラストに一気にフラグ回収されていくようなペース配分でしたが、今作はまんべんなく楽しむことができたように思います。ピノキオをそんな風につかうのか…!というのも面白い発見ですね。
個人的に気に入ったのは、ほら吹き一族、ミュンヒハウゼン男爵家の次男、ジルベルト・フォン・ミュンヒハウゼンという男性。彼は大学で『噓つき学』を専攻している学者のたまごです。心理学を少し齧っていた私からすると、頭に浮かぶのは『ほら吹き男爵の冒険』のミュンヒハウゼン男爵。ミュンヒハウゼン症候群という精神疾患の名前の由来となった人物です。そこを引っ張ってくるあたり、皮肉が効いているなぁと感じました。彼の発言がどこからどこまで本当で、どこからが嘘なのだろうと邪推しながら読んでしまいました。
そういえば読後感に、何かを見落としているような感覚があって、それが消えないのです。これはいったい何だったのでしょう。フラグを回収しきっていないような…この違和感。3作目に続きそうな予感なのかもしれません。
まとめ
「”不老不死”なんて人形と一緒だよ。そんなものもらったら、ろくでもないことを考える」
(P283より引用)
良い台詞だなと思ったのがこちらの台詞。どういう文脈なのかは読んでのお楽しみとしてください。限りある命だからこそ、1日1日を生きることができるというのは、大切にしたいなと思いました。
「赤ずきん」シリーズもまだまだ続けようと思ったらつづけることができそうですけれど、今後続編がでる予定はあるのでしょうかね。出たらぜひとも読みたいと思うのですけれど。その時はどんな物語が出てくるのか楽しみですね。