まげわっぱってご存知ですか?
スギやヒノキの薄い板を円筒形に曲げて作られた木製の箱です。昔ながらのお弁当箱と聞くと、まげわっぱをイメージされる方も多いのではないでしょうか。素朴なデザインながらも軽くて、香りも良くて、日本各地の伝統工芸品で…なんと私好みなのでしょう。
とはいえ、勤めていたころのお昼ごはんはプロテインとナッツ&ドライフルーツでしたし、現在専業主婦である私にお弁当は必要ありませんし、夫もお弁当を必要としていません。ですので、使う機会が全くと言っていいほどありません。
実は数年前、母から誕生日のプレゼントにまげわっぱを貰っていたのですけれど、いまだに日の目を見ず…。秋田杉を用いたまげわっぱのようで「大館曲げわっぱ」とあります。使用方法などを調べていたときにお値段も見てしまったのですが、お弁当箱にしては結構なお値段でした。職人さんがつくってくださった、お弁当ですもの。当然ですよね。
それがこちらです。今も箱にいれて保管しています。なんとも綺麗な木目でうっとりしますよね。
空けてみるとこんな感じです。昔ながらの小判型。こんなにもきれいに薄板がまがるものなのだとびっくりしますよね。あと、箱をはめたときになる「カポッ」という音が可愛らしくて、これまたたまりません。
個人的に好きポイントはこの結び目のところ。桜皮で縫い留めているそうな。ぴっちりと、おさまったこの感じ…たまりませんね。ウレタン塗装をしているので、揚げ物やナポリタンなどを入れても大丈夫で、食器洗剤も使えるとのこと。万能やん…。
折角だから使いたい。でもお弁当を使う機会がない…ぐぬぬぬぬと、貰って以降、思い悩んでおりました。
そんななか、つい先日読んだ小川糸さんの『昨日のパスタ』でまげわっぱについて書かれている文面がありました。
最近、頼もしい旅のお供を見つけた。曲げわっぱである。これが、一つあると何かと重宝するのだ。
大抵、旅に出る時は家を出発するのが午前中になるのだが、そうすると朝昼ごはんの時間と重なってしまう。駅でお弁当を調達し、食べながら移動を楽しむ、というのももちろいいのだけど、私の場合、最近は特に自分が食べられるお弁当を見つけるのが、なかなか困難なのだ。売店に並んでいるお弁当には、かなりの添加物が入っている。食べられないわけではないけれど、食べると、具合が悪くなったり、眠れなくなったりする。それで、曲げわっぱの登場である。
お弁当といっても、本当に簡単なものでいい。たとえば、ご飯の上に、何か昨日のおかずの残りをのせたものだとか。それを、ちょこちょこっと曲げわっぱに詰めて、電車の中で食べる。曲げわっぱ、というのが、ちょっとした魔法なのかもしれない。なぜか、そこに入れるだけで、おいしさが増す。
今回、行きは曲げわっぱの中に皮をむいた柿とおやつを入れた。冷蔵庫に残っていた栗蒸し羊羹を、ちょうどいい大きさに切ってラップで包んで入れておく。チョコレートも、旅先でコーヒーを飲みながら甘いものが欲しい時など、あれば助かる。
(『昨日のパスタ』より引用)
これだーーー!!!と思いましたね。
なんで今まで気が付かなかったのでしょう。そうです。旅のおやつを入れればいいのです!食材を入れればそれは、甘かろうとしょっぱかろうとお弁当です。スコーンや簡単なクッキーなどであれば自宅で簡単に焼けますし、旅行の前日に作っておいても問題ありません。それに我が家には、いただきもののホットサンドメーカーもあります。それらを、まげわっぱに入れれば、それはもうお弁当です。あぁみつろうラップを敷いてあげても可愛いかもしれませんね。
そんな感じで妄想が拡がる今日この頃です。近々、外にお出かけする予定がありますので、ちょっとお弁当を作っておでかけしてみようと思います。楽しみがひとつ増えて嬉しいなぁ。