SIMPLE

シンプリストになりたいのです

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は 百合 の花

百合という言葉をご存知でしょうか。花の百合ではございません、所謂 百合・薔薇と例えられる創作物のジャンルのお話です。今回はその百合についてかきたいと思いますので、百合・薔薇、GL・BLに対して抵抗のある方、またそもそもそれらが何をあらわすのかご存知ではない方も閲覧をご遠慮くださいませ。

小学生の頃に高橋留美子先生の描かれた「犬夜叉」にはまって以来、漫画作品とはきってもきれない間柄のまま20年程経過致しました。烈火の炎幽遊白書るろうに剣心…今まで読んだ作品数はどれほどになるのでしょうか、覚えてもいませんけれどそれなりの冊数を読んできたと思います。アニメの方はというと、幼少のころからセーラームーンが好きだった私は当然アニメも好きでした。ですので、わかりやすくいうと「オタク」として生きてきたわけであります。

オタクとして楽しむ際、いろいろな楽しみ方があると思います。作品を楽しむとしても絵を楽しむ、物語を楽しむ、世界観を楽しむとか。そこから更に踏み込むと「キャラクターを愛す」という楽しみ方もあって、私はどちらかというとそういった夢女子的な楽しみ方をする人間でした。二次創作をされる方にもキャラ×キャラ(モブも可)オンリーであったり、キャラ×自分(などのリアルな存在)であったりと介入の仕方が違います。私は作品へ介入するタイプだったわけですね。それぞれ作品の余白の埋め方は様々なのです。

そんな私ですので、BLとGLの方には実はあまり興味がありませんでした。BLとはじめてであったのは中学生の頃。当時大ブレイクしていた某庭球アニメ。私はハマるというほどではありませんが、敵校に好みのキャラクターがいたのです。それでその庭球アニメにドはまりしている友人にその話をしたところ、1冊の本をくれました。それが「薄い本」だったのです。いまにして思えば、何故 夢女子だった私に 彼女はあの本をくれたのでしょうか。謎です。

私も当時は好きなキャラクターのイラストを描いてはニマニマするオタクではありましたが、それを販売するという発想はありませんでしたし、そういう業界や「二次創作」という概念があることすら知りませんでした。また恋愛は男女でするものという固定概念がまだ強くあった頃でしたので、BLをはじめて知ったときは吃驚というかなんというか。その友人がくれた「薄い本」も口付け以上の性描写はありませんでしたが、こういう楽しみ方をする方もおられるのだと新しい扉を知ったのでした。

それからしばらく夢女子として生きてきましたが、次第にアニメ・漫画を楽しむ方法からそういった視点は薄れていきました。この作品好きだな、このキャラクターのデザインいいなと思うことはあっても、そのキャラを強く愛するということが減ってきたのです。自身を介入させなくなりました。これが大人になるっていうことでしょうか。そんなわけで、純粋に(?)作品を楽しむようになったのです。

すると観るジャンルが幅広くなりました。今まで観ることのなかった日常系漫画であったり、冒頭でお話した薔薇や百合を観ることができるようになりました。とはいえ、性描写を絵で表現されている作品が苦手な私。私が好きなのはそういった肉体的イチャイチャではなく、精神的イチャイチャであって、性描写まで描いてくれなくていいという…我儘です、はい。そんなわけで、観る幅は広がれど、あまり摂取することなく過ごしておりました。

そしてそして。今はいい時代になったなぁと思うのが、SNSやpixivなどで作品の一部を試し読みできることです。作品によっては、SNSで投稿している分+描きおろしでコミックが構成されているものも多くあって「これなら私でも読める!」というものを見つけやすくなりました。

そこで出会ったのがこちらです。

悪役令嬢が正ヒロインを口説き落す話。

あらすじはタイトルのそのまんまです。悪役令嬢アクヤが殿下の愛人セイを口説き落として、その後はイチャラブ生活を送る…という。そのまんまです。たまたまTwitterで拝見したときに、面白い設定だなと思ってみはじめてそのままはまりました。アクヤお姉さまの決め台詞は性的なものが多いですし、多少の性描写があるのですけれど塩梅がちょうどよくてですね…。これくらいでいいの!2人がいちゃいちゃ幸せそうにしている姿が観たいだけだから!という、私のフェチズムに良い感じに刺さりました。

何よりアクヤお姉さまがかっこよすぎて、同じ女性として憧れるといいますか。実際にアクヤお姉さまのような方がおられたら、惚れてしまうだろうなと思います。

とにかくです、私は「女性同士の強い関係性」や「精神的な繋がり」が好きなようです。そんなわけで百合ものとして描かれていないくても、百合視点で勝手に見て楽しんでいる作品もあります。それがこちら。

ちろり

大開港時代の明治、文明開化が進む横濱にある一軒の小さな喫茶店・カモメ亭。そこで働く少女・ちろりと喫茶店店主のマダムが織りなす美しい日々をつづった物語。四季が移ろうように時代も移ろい、そして人も移ろっていく。それでも、喫茶店・カモメはそこにある。ちろりのゆっくりと、一歩一歩成長していく姿に癒され、マダムの美しさにうっとりすることができる作品です。

yu1-simplist.hatenablog.com

以前、スパイスカレーを作る際に「舞妓さんちのまかないさん」を紹介しましたが、その作品を描いておられる小山愛子先生の作品です。小山先生のお話はどれも暖かくて、適当に過ごしていたら気が付かないような些細な変化を教えてくれる作品です。まるでガラス細工のように繊細で、絹のように滑らかな…そんな印象の漫画家さんです。

ですので、人間関係の描写が絶妙なのです。「百合」ではないのですけれど、どこか強い精神的な繋がりをマダムとちろりの間に感じる。舞妓さんでも屋形のお母さんと百子さんねえさん、百はなとキヨちゃんとそこにそういった言葉は存在しないのに感じる関係性。恋愛感情であるとか、愛情であるとかはどうでもよくて相手を大切に愛おしく思っているという世界が美しくてですね…。たまらないですね。

今回はこの3作品を推したい!というだけの記事なのですが、2700文字を越えました。愛していているものを語るのってやっぱりいいですね。他にもこういった作品を読んでみたいので、マリみてをみようか…と検討中。調べてみると結構いろいろあるようです。文学としても気になるもので、少女小説も読んでみたいです。「花物語」とか読んでみたい…図書館にあるでしょうか。あといったら沼るのがわかっているので手を出せていない宝塚も拝見してみたい…ぜったいハマるけど。帰ってこれなくなるけれど…。

また素敵な作品に出会えたら、こちらでも紹介したいと思います。