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シンプリストになりたいのです

推し活のすすめ

今回おすすめしたいのは「推し活」について。私が日々の彩としている推し活について、綴っていきたいと思います。

推し?推し活?

昨今、日常的に耳にするようになった「推し」や「推し活」。

「推し」とは誰かに勧めたいと思うくらい好きな人物、キャラクターのこと、

「推し活」とはその人物・キャラクターを応援するための活動のことを言います。

ここで推しについて 以前紹介した『映画を早送りで観る人たち』を少し参考にしたいと思います。何故「推し」「推し活」がこんなにもひろまったのでしょうか。それは、ここ数年で「個性的であること」が求められるようになったという背景があります。

昨今の大学生は社会人になるにあたり、ジェネラリストよりスペシャリストを志向する傾向が強まっている。浅く広くそつなくこなせる量産型の人材ではなく、一芸に秀でた替えの利かない人材を目指す。

(P155-156参照)

終身雇用制度という言葉が懐かしいものに感じるようになった今、一つの場所で生涯働く人の割合はどのような具合なのでしょう。たった10年で考えても大きく変化したのではないでしょうか。いくつもの職場を渡り歩く可能性がある現代では、何かのスペシャリストでなければ生きていくことはできません。そしてその何かのスペシャリストこそが「個性」なのです。しかもSNSの普及から、小さなクラスターではなく日本中から見ての「個性」が必要になってしまいました。

世の中には1つのことに尋常じゃないほどの時間を費やしてその界隈のスペシャリストとなった「オタク」たちが存在します。オタクたちは個性の塊のようなものでしょう。これからの時代はそんな個性的な存在でいなければならない。しかしそのライバルは日本中規模のオタクたち…到底敵うはずがありません。それに彼らに憧れはあれど、コスパ・タイパを重要視する現代では、1つのことに時間を費やしてオタクになることはコスパ・タイパが悪い行動になってしまうのです。

また「オタ充」という言葉も一時期流行りました。アニメ視聴やゲーム、イベントなどのオタク趣味を満喫している人々のことを指し、「リア充」と同じ感覚で使われた言葉です。そういったオタ活をしている人々は趣味を謳歌し、楽しんでキラキラしているように見えるのです。個性を極めつつ、充実しているのはとても素晴らしいことですよね。そんなことから現在ではオタクは憧れの対象となったのです。

オタクにはなれない、でもオタクには憧れる。ではどうするか?オタクではなく「ただそのコンテンツを好きな人」になればいいのです。知識や費やしてきた時間は計測することが可能ですが、好きの気持ちは計測することができませんから。

「オタク」という語感にはその道のプロフェッショナル、専門家でなければ名乗れないハードルの高さがあるが、’推し’はただ純粋に好きだという謙虚な気持ちの表明だ。’にわか’でも安心して使える。

(P145より引用) 

どんなジャンルにも古参という存在がいます。その界隈でずっと仕えてきた人々は、その界隈に新しく入ってきたオタクに対して必ずしも好意的とは限りません。アニメ界隈でも映画界隈でも「〇〇を観てないのにアニオタを名乗るなんて…」とか「××監督の名前も知らないやつは にわか」なんて叩かれる姿は珍しいことではありません。「オタク」と名乗ることへのハードルはどんどん高くなり、その界隈で必ず履修すべきものが存在するようになりました。

そんなときに便利なのが「推し」です。推しとはただ好きだという表明ですから、それらを履修していなくてもよいのです。フランクにそれと接して、楽しめばそれでいいのです。

推し・推し活のメリット

推しがいることや推し活はオタ活と違いフランクに始めることができることを、先述いたしました。ではそれらにどんなそメリットがあるのかを紹介したいと思います。ここでは「私はどう思っているのか」を吐露していきたいと思います。

推しとはすなわち好きな人。好きな人がいるだけで日々が華やいで彩りが増したようにみえますよね。大袈裟ではなく、推しがいるだけで人生は大きく変わります。

身だしなみや所作に気を付けるようになった

よく推しのイベントやライブに行くためにお洒落をするというお話を耳にすると思います。それは推しに少しでもよく見られたいという気持ちの方もおられると思いますし、私のようにファンの1人として恥ずかしくない立ち居振る舞いをしたいという人もいます。「これだから〇〇担は…」と言われない様に、推しのマイナスにならないようにと心掛けているのです。

また推しはそのイベントやライブの為に忙しい中、準備をしてきてくれています。こちらにできる準備、それが身だしなみなのです。身だしなみといっても正装して、目一杯着飾っていかなくては!というわけではありません。TPOにあった服装・メイク・髪型をすればいいのです。普段は適当にしかアイロンをかけないシャツにも丁寧にアイロンをかけてみたり、いつもより念入りに靴の汚れをおとしてみたり、いつもより綺麗でいることを気にかければ尚 良しかと思います。

所作も同様に極度の猫背な私ですが、舞台鑑賞の際はいつもより背筋を伸ばすことを意識して、歩くときもズカズカとは歩かない様に…そんなふうに心掛けるようになりました。それはイベントやライブの時だけでなく、少しずつ日常に良い意味で侵食してきているように思います。

規則正しい生活をおくるようになった

身だしなみや所作を美しくするためには普段からの食生活やスキンケア、果てはメンタルケアにも気を遣う必要があります。それらは一朝一夕でどうにかなるものではないのです。化粧をするにも肌がボロボロでは難しいですよね。できる範囲で普段から調整できるところは調整しなくてはと心掛けています。

仕事に就いて、賃金を得るモチベーションができた

今まで嫌な仕事でも耐えることができたのは、推しのイベントやライブ、舞台鑑賞をするためでもありました。推し活にはある程度金銭がかかります。それらを維持するためには当然、労働が必須になります。次のライブにはいくらかかるから〇〇時間はがんばろう!とか今働いているのは推しに貢献するため…!と思うことで、嫌な客も笑顔でスルー出来ることも多々ありました。

推しのおかげで活動的になった

引きこもり人間の私ですので、用がなければほとんど家からでることはありません。しかし、推し活となれば話は別です。推しのライブやイベントには極力参加したい!できることならば、推しを生で拝見したい。半径数100m以内で同じ空間を味わいたい。それに最近はライブビューイングだけでなく、イベントそのものがネット配信で遠方からも楽しむことができるようになりました。私自身も会場の場所によってはライビュはネット配信を活用することもあります。そんなわけでカレンダーには幸せな予定が詰まっていきます。私は基本的に複数の推しを同時に応援することはなく、1人だけ(もしくは1グループだけ)を応援するので極端に密な予定になることはありませんが、複数の推しがいる方はさらに密になるのだと思います。

またライブやイベントは最寄りで開催されているものだけではありません。日本全国、推しによっては海外でも活躍されているかと思います。推しのためであればえんやこら、遠征だってします。奈良県に在住していた頃は東京・兵庫・大阪・広島、さらに沖縄まで推し活のために出かけました。折角遠方まで来たのであればとそのまま観光することもあるので、一人旅上手になりました。

いつでも幸せを感じることができる

推し、即ち好きな人は存在してくれている、それだけで幸せです。日々の推しの活躍を見ているだけで、それはもう幸せなのです。さらに、そこに+αとしてライブやイベントの思い出があればマーベラス。私は記録魔ですのでこういったイベントやライブも勿論記録の対象です。

yu1-simplist.hatenablog.com

楽しかったこと、推しがいかに素晴らしいかを記録することで、イベントやライブが終わったあとも楽しみが継続します。そして、その記録を見返すことで、何度もその幸せに浸ることができるのです。

私は推しノートを作成してはおりませんが、推しの活躍をまとめたノートを作成していらっしゃるのを拝見したことがあります。推しのプロフィールや出演した番組をまとめたり、雑誌などの切り抜きを素敵にデコレーションしたり、推しの素晴らしさをふんだんに堪能する世界を自分で構築する。とても幸せな時間だと思います。

推しのおかげで友人ができた

推しを応援しているのは自分だけではありません。SNSをみれば同じように推しを応援している仲間を見つけることができます。SNSで推しの素晴らしさについて発信していると同士からコメントをもらったり、逆に情報収集のために自分がみる側になることもあると思います。ハッシュタグで仲間を集めるという方法もありますし、様々な方法で仲間をみつけることができます。そういった仲間とライブやイベントで実際に挨拶を交わしたり、オフ会を開くことで交流をもつこともできます。

私もTwitterで仲良くなった推し仲間とイベントで初顔合わせし、そのままオフ会をしたことがあります。まだお酒を飲んでいた時期ですし、コロナ前の思い出ですね。普段では誰かと推しについて深く話すことはできませんので、誰かと生で推しの素敵さについて語らうことができてとても楽しい時間でした。昨今ではZOOMなども簡単にできるようになりましたし、そういったツールを使って交流を深めてみるというのもいいかもしれません。

推しのおかげで新しいジャンルに興味をもつようになった

推しの推しは推しです。早口言葉のようになりましたが、推しが推しているコンテンツがあれば、それも興味の対象となります。例えば推しが尊敬しているアーティストがいれば、その音楽を自分も聞いてみたいと思いますし、推しが好きな映画があれば自分も観てみたいと思います。今までの自分では知ることのなかったジャンルに興味をもつきっかけにもなりますし、そのままそのジャンルに自分もはまっていけばそこで新しい発見をすることもあります。

また推しが出演したというだけでも、新しいジャンルを知るきっかけになります。少し前にドラマ内で手話が使われていたそうですが、それがきっかけで手話に興味をもつという方も多くおられたそうです。そうやって世界が広がっていくのも推しのおかげなのです。

メリットまとめ:推しは生きる栄養分

少し重めのお話をしますが、私は過去にメンタルヘルスのお世話になったことがあります。自分は誰にも必要とされていない、同時に誰も必要としていないのだからこんな世の中からいなくなってしまえばいい。そんなふうに考えては、電車のホームで呆然と立ち尽くすことが何度となくありました。そんな日々を癒してくれたのも推しです。メリットであげたいくつものことが私自身をよりよい方向に導いてくれました。さらに自分を大切にできない状況に陥っても「こんなことをしたら推しは絶対に嫌がる」「推しはこんなこと絶対に望まない」そう考えるようになりました。そんな生活をしているうちに、私の豆腐メンタルも随分と緩和してきて、現在のんのんと暮らすことができています。

また周囲の人に推しを勧めてまわる活動のことを布教活動といいます。まだマイナーな世界で活躍する推しであればなおさら、布教活動は重要な役割と言えるでしょう。こうした応援は まるで我が子の成長を支える母親のような そんな愛情で接することがあります(子どもはいませんけれど)。自分では叶えることができない大きい夢を叶えようと努力する推しの姿は、とんでもなく尊いものです。応援することで、自分の夢を託すような、そんな感覚に陥ることもあります。

推しが存在してくれるだけで幸せです。推しの活動を支え、役に立っているということがさらなる幸福感となり、また推しを支える活力になる、そんな連鎖反応もあるのだと思います。

ちなみに返報性の法則ってご存知でしょうか。

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。

(Wikipedia参照)

ja.wikipedia.org

推しは存在してくれているだけで施しを与えてくれている状態とすれば、お返しをしたい支えたいと思う心理はあながちおかしいものではないようです。

推し・推し活のデメリット

さてここまで推し、推し活の素晴らしさを綴ってきましたが当然、メリットだけではありません。デメリットも存在します。そのデメリットと私なりの解消方法についても綴っておきたいと思います。

推し活にはお金がかかる

推し活には結構な金額がかかります。ファンクラブや有料チャンネルの登録、ライブやイベントのチケット代、さらにはグッズ代…あげてみればきりがありません。特に遠征するとなると宿泊費・交通費と結構な金額になります。それにライブやイベントに参加するとなれば、当日の髪をセットしたり お洋服を新調される方もおられるのでそういった美容関係にもお金がかかります。

私が注意していることは、推しのためにいくらまで金額を使うのかを前もって検討しておくことです。ライブやイベントもその主旨はどういったものなのか、ライビュや配信ではだめなのか…よーーく考えます。また昼・夜公演あるようなイベントであればどちらかだけINしてあとは配信をみるなど、全てに参加しなければ!と思わないようにしています。また基本的にグッズはペンラ以外は普段使える物以外は購入しないようにしています。前もってグッズの販売情報がでているので、これは買うこれは買わないと決めてから行くのがベター化と思います。

推し活が生活の中心になってしまう

推し活あるあるかと思いますが、最熱期は生活の殆どを推しが占拠することがままあります。プライベートの予定は推しだらけ、友人や家族、恋人は後回し…となってしまい、人間関係を破綻させてしまうということもゼロではありません。

また推し活に忙しくすることが常になり、推し活ではなく「忙しい生活」が主目的にすり替わってしまっている方もたまにお見掛けすることがあります。折角の推しとの時間もそれでは楽しみきれないし、推しにも失礼かな…と思ってしまいます。

私は最優先事項となるのは自分であるという主軸をぶれないように推し活することを心掛けています。推しとは適度な距離を保ちつつ、自分ができる範囲でだけ応援することが、長く推し活を続けていける方法でもあると思います。

人間関係

メリットでもありデメリットでもあるのが「推し仲間」の存在です。人間関係が発生すれば、それはいいことばかりではないのです。同担拒否の方もおられれば、人によって地雷となるものも違います。つい口を突いて出た言葉が相手を不快にさせてしまったり、逆も然りです。

それだけでなく、悪意をもって近づいてくるような輩も存在します。言葉巧みにこちらの求めているモノで釣ってくるその裏では、自分の身を危険にしている可能性も大いにあり得ます。

こればかりはケースバイケースですので、日ごろから気を付けるということしかありません。オフ会や誰かとお会いするということであれば、個室ではなく人の多いところでお会いするとか、お互いに安心して会える環境を心掛けるのが一番かと思います。

推しがいなくなる日

推しが二次元でも三次元でも、突然推しが消えてしまうということはあります。漫画で推しキャラが亡くなったショックでその漫画を読むことができなくなってしまったことがある私には、これは深刻な問題です。ある日突然推しが亡くなる、引退する、不祥事をおこしてしまい炎上する…。その恐怖は普段気にしていなくても、ある時ふと心にプスリと針をさしてくる、なんてことがあります。

さらに推しの中にも応援したいという母性的な愛情の方だけでなく、なかには恋愛感情をもって推しを応援している人も少なからずおられます。そういった方にとってみれば、推しの結婚も辛い情報の1つかもしれません。

「推しは推せるときに推せ」なんて言葉も聞きますので、適度な距離を保ちながら推せるときに推して、会える時に会っておくことが、少ないながらできることではないかなと思います。

まとめ

推し、推し活について綴ってみましたがいかがだったでしょうか。デメリットもありますが、それ以上にメリットが大きいと思います。私には夫公認の推しがいますので、家でも好きなように推し活ができています。なんでしたら、夫も推し活に連れて行っているくらいです。夫には感謝してもしきれません。

↑写真を撮っているのが夫、パフェの向こう側にいるのが私。我が家ではこうした推し活も夫婦のコミュニケーションツールの1つとなっています。

十人十色、それぞれの推し、推し活があると思います。自分のペースで、自分のできる推し活をしていただければ幸いです。