SIMPLE

シンプリストになりたいのです

土方歳三最期の一日 を見る

以前、1ヶ月かけて大河ドラマ新選組!」の全49話を見ました。「新選組!」はあくまで新選組の局長である近藤勇の生涯を描いた物語で、彼の死後については触れられていません。近藤勇が板橋で斬首されて以降も新選組は北上し、五稜郭のある函館で最後を迎えます。

大河ドラマ放映当時、続編を希望する声がとても多かったそうです。やはりドラマで取り上げられると、観光面への効果は絶大でしょうから会津や函館の方々がやってほしいと言う声は納得です。私個人としても、タイトルが「新選組!」ですから、新選組の最後も見たいなぁと思っておりました。

そんなわけで、ある意味50話目。「新選組!!土方歳三 最期の一日」も見ましたので、感想をネタバレ交えて綴っていきたいと思います。

あらすじ

近藤勇が板橋で斬首されてから一年。時は明治2年(1869年)5月10日。元号が明治へと変えられてから少し経った頃。未だ旧幕府軍は江戸から随分離れた北海道、箱館にある五稜郭に陣を構えていました。土方は京都からの新選組の仲間であった島田たちと、新政府軍に奇襲をかけ、兵糧を巻き上げているようです。

一方、箱館政府総裁・榎本武揚や陸軍奉行・大島圭介らの幹部たちは優雅に盃を交わしているようです。彼らは、明日攻めてくるであろう新政府軍に降伏することを決め、別れの盃を交わしていたのでした。

土方は反対する島田たちを説得し、箱館の港や街の警備を命じ、一人隊を離れます。島田は死ぬのであれば、土方と共に五稜郭で死ぬことを希望しますが、土方はそれを望んでいません。彼らだけでも生き延びて、新選組を引き継いでほしいと願っているようでした。さらに土方は、自分の世話役のような仕事を務めてくれていた市村鉄之助を呼び出し、密かに隊を抜け出させました。自身の写真と、近藤との思い出の品を彼に託し、多摩へ届けてほしいというのです。市村はこっそりと隊を抜け、一人で北海道から東京の多摩を目指す過酷な旅が始まったのでした。

新撰組の面々と別れた土方は、道中 幕府要人であった永井尚志と出会います。そこで、榎本たちが降伏するつもりであることを聞かされます。

土方「俺がなんのために、今日まで生き続けてきたと思うんですか。すべては近藤さんの無念をはらすため。あの人が死んだとき、俺の人生もおわった。それでも俺が死ななかったのは、近藤勇を罪人のままにしておくわけにはいかなかったからです。今、薩長に白旗をあげたら、俺はあの人に何と言って詫びたら良いんですか!」

永井「ごめんなさいでいいじゃないか。それで怒るような近藤さんじゃないだろう。おまえさんはよくやった。土方歳三がいてくれたおかげで、五稜郭は今まで持ちこたえられた。みんな、今日まで戦ってこれたんだ。ここまで生きてきたんだ。生き延びて西郷や桂がどんな世の中をつくるのかを見届けてやろうじゃないか!」

しかし土方の心は変わりません。最後に薩長軍と戦い一矢報いなければなりません。土方は、再考を促すべく、榎本を訊ねます。榎本に自分に隊を与えてくれれば、勝利することができると言い張りますが、榎本はその土方の意見を真っ向から突っぱねます。

榎本「おまえさんにははなから勝つ気なんてまるでねぇからだよ」

土方「そんなことはない」

榎本「口では強気なことを言っているが、この戦すでに勝敗が決まっているということを一番良く知っているのは、誰よりも勝ち方を知っている土方さんだ。あんた、死にたいんだろ?一日も早く、戦でさ。いろいろ御託を並べちゃいるが、要は死に場所を求めているだけだ。そんな物騒なやつに、俺の兵を預けられるか!」

そして土方、榎本はそれぞれがどうしてここで闘っているのか、それぞれの胸の内を明かしていきます。そして、大島を含めた立場の異なる三人での話し合いは、少しずつこれまでとは違った方向へと進んでいくのです。

土方「ようやく気付いたよ。俺は死に場所のことしか考えてなかった。そしてあんたの頭の中には、降伏のことしかなかった。俺達は大事なことを忘れていたようだ」

榎本「何をだね?」

土方「諦めないってことだ。あんたは確かに馬鹿だ。馬鹿なロマンチだ。だが俺はもう一人、馬鹿なロマンチを日本一の侍にするために人生を費やした。どうやら、そのロマンチとやらに付き合うのがしょうにあっているらしい。俺はあんたの夢に賭けることにする」

榎本「夢は覚めたと言ったはずだ」

土方「いや、ちがう。夜が明けるのはまだまだ先だ。榎本さん。いいか、これは死ぬための戦いではない。これから俺たちは生きるために戦うんだ」

榎本「一言言っておく。ロマンチではなく、ロマンチストだ。変なところで切らないでほしい」

土方「知ったことか」

それから旧幕府軍の面々は、いかに勝利するかを思考していきます。そして、一つの抜け道を見つけるのでした。これなら勝てるかもしれません。そして夜が明け、朝がやってきます。

しかし、敵の本陣を目指していた土方の目には、信じられない光景が広がっているのでした。敵は夜の内に箱館山の裏側に回り込み、そこから奇襲をかけていたのです。これでは、島田や残してきた隊士が危険です。土方は榎本たちにすべてを託し、一人馬を走らせるのでした。

感想

このあとの展開はまぁ知っての通りです。土方さんの「最期の一日」ですからね。ただ、土方歳三の最期を新しい視点で描いているように私には感じられました。

彼の最期にふさわしい言葉と言えば、「散華」ではないでしょうか。散華とは、若くして戦死することを美化していう言葉だそうです。桜の花が散るように、新選組も散っていく。そして土方歳三という男も、同じように散っていく。土方さんの最期は、自分の死に場所を追い求め、その先にあったのが五稜郭なのではないだろうか、と思うことが多々あります。実際、そういうふうに描かれていることが多いように感じています。もちろん、実際本人がどう思っていたのかは私たちには分かりませんけれど。

ただそういう死に場所を追い求め最期のときを迎える土方歳三ではなく、最期まで武士として戦った男として描かれていたのがとても印象的でした。こういう土方さんも、かっこよかったです。

戦のあと、残された隊士たちに永井さんが言う言葉が、また染みるんですよね。

永井「戦はもう終わった!命を粗末にするな!生きるんだ。生きて、土方の仕事をお前たちが引き継げ」

相馬「仕事…」

永井「生きて見届けるんだよ。新選組を受け入れなかった新しい世がどんなものになるのか。あいつはそれをお前たちに託したんだ」

最後まで戦い抜け!でも、土方のあとを追え!でもありません。これまでの武士は戦って死ぬことが美徳でしたが、最後の最後で「生きろ」と言われるとは。とても感慨深かったです。

今回は割愛しましたが、試衛館の面々との微笑ましい過去回想や、斎藤さんが近藤さんの首を京都から奪い返し会津に葬る話など、大河新選組ではみられなかったその後のシーンもとてもよかったです。土方さんと斎藤さんの別れのシーンもよかったなぁ。新選組であることにこだわっていた斎藤さんが、どうして会津にのこり戦ったのか、その辺りが描かれていてとてもよかったです。松平容保公もかっこよかった❀

これを見て、あぁ「新選組!」は完結したんだなぁとしみじみ思いました。見てよかったです。

よもやま話

新選組に詳しくないと言っても、土方さんが最期を迎えた場所が函館であること、そして同時に新選組が最期を迎えた場所がこの場所であることは知っていました。ですから、以前函館にお邪魔したときは、とても感動的というか。私にとって函館は、聖地のような場所でした。

五稜郭もとても感動的でしたが、さらに染みたのが碧血碑。行くのに苦労しましたが、行って良かったなと思います。

どうぞ安らかにお眠りくださいと手を合わすことしかできませんでしたが、時代はつながっているんだなぁなんて当たり前のことにしんみりしたものです。

現在計画中の会津旅行でも同じように感じるのかもしれません。後悔しないように、いろいろちゃんと調べてから行きたいという気持ちと、あれやこれやとやることがあって追いつかない現状で、ドタンバタンしている今日この頃。9~10月には落ち着くはず(?)なので、その頃に「八重の桜」を全話堪能しようと思っております。

余談なのですが、新島八重さんが主人公の小説で何かいいのがないかなぁと思い探しているのですがあまり見当たらず。八重の桜の前に何かで予習したいのですけれど。偉人伝記の漫画で新島八重さんもあったはずなので、今度図書館に行ったときに探してみようかと思います。(とか言って、またやることが増える私なのでした)