SIMPLE

シンプリストになりたいのです

映画・バグダッドカフェ の感想

ミニマリストとして生きたい!と息巻いて日々を暮らしていたころの話。

自分の荷物をスーツケース1つ分におさめ、特定の住居に暮らすのではなく、ホテルやウィークリーマンションなどで暮らす。まるでノマドのような暮らしをしている人の話を本で読みました。

当時は、いいな!私もそんなふうに生きたい!と思ったものです。今は、最小限よりも少し多い、最適個数を目指しているのでスーツケース1つには収まらなさそうです。

今回はミニマリストにおすすめの映画!などでよく目にする、「バグダッドカフェ」を見ましたので、感想をネタバレ交えて綴っていきたいと思います。

あらすじ

アメリカのとある砂漠地帯。1組のドイツ人夫婦がなにやら喧嘩をしているようです。妻・ジャスミンは自分の荷物を持って車を降りてしまいます。そして、どこまでも続いていそうな幹線道路を重いトランクを引きずって歩き出したのです。夫も怒りがおさまらないようで、コーヒーが入った魔法瓶だけ残して、車を発進させてしまうのでした。

一方、幹線道路沿いに一軒の寂れたカフェがありました。そこはモーテルやガソリンスタンドも併設されているようです。女主人のブレンダはなにやら機嫌が悪いようで、あちらこちらに怒鳴り散らしていました。

息子のピアノの練習はうるさいし、娘は遊びほうけているし、孫の赤ちゃんの面倒はだれも見ないし…夫も、壊れて新しく注文したコーヒーマシンをいつまでも取りに行ってくれないし、挙句道端で魔法瓶を拾ってくる始末です。そのままブレンダの怒りは大爆発。夫はそのまま出て行ってしまいました。

怒りや悲しみといった感情に苛まれているブレンダの元に、ジャスミンが近づいてきました。幹線道路を随分と歩いて、バグダッドカフェまでやってきたのです。そして、ジャスミンはそのままバグダッドカフェで宿をとることに決めたのでした。

部屋に入ってみると、飾られた1枚の絵に衝撃が走ります。青空に2つの太陽が輝く風景画に、魅入られたのでした。

それからジャスミンはトランクを開封しますが、なんと中に入っていたのは夫の荷物。どこかで入れ間違えてしまったのか、男ものの衣服や髭剃りなどが入っていました。バグダッドカフェの主は、掃除に入った際に、ジャスミンの荷物に対して不信感を抱きます。地元の保安官 アーニーを呼び出し、ジャスミンの取り調べをしますが、特に問題はないということで、お開きになったのでした。

翌日以降もジャスミンは、バグダッドカフェに留まることにしました。とはいえ、周りに観光できるところもないため、暇を持て余してしまいます。そこでジャスミンは、バグダッドカフェ内を勝手に掃除しはじめてしまいました。

買い出しから帰ってきたブレンダは当然怒り狂い、銃まで持ち出しましたが、その場は何とか収まり事なきを得ました。それからもジャスミンは、赤ちゃんの面倒を見たり、子どもたちと仲良くなったり、カフェに集まる客とも親交を深めていきます。

ブレンダはそれに納得できず、そんなに子どもと遊びたいのであれば、自身の子どもと遊べばいい!と怒鳴りつけてしまいます。けれど、ジャスミンは子どもがいないことを悲しげに伝えるのでした。それからブレンダも少しずつ、ジャスミンと心を通じ合わせるようになります。

ジャスミンは荷物の中にあった手品の練習セットでマスターした手品をカフェの客に披露するようになります。すると、その手品はどんどんと評判になり、カフェは大盛況するようになったのでした。

ある日、ジャスミンはカフェの客であるコックスから絵のモデルになってほしいと頼まれます。ジャスミンの部屋に飾られた絵は、彼が描いたものだったのです。それからジャスミンは、バグダッドカフェの手伝いと、コックスのモデルに…と忙しい日々が続きます。

しかし、再び地元の保安官がバグダッドカフェにやってきたのです。ジャスミンのビザはとうに期限が切れていますし、労働許可証も持っていません。そのため、ドイツに帰国するように命じられたのです。

ジャスミンのいなくなったバグダッドカフェはまた以前のように閑古鳥が鳴く、寂しいカフェに逆戻り。友人を失ってしまったブレンダも悲しみに暮れてしまい…

感想

ドイツでは1987年に、日本では1989年に公開された作品ということで、時代の違いや映像技術の違いも楽しめる作品でした。生まれる前の作品を見るのは久々です。制作は西ドイツとアメリカとのこと。アメリカや韓国、フランスの映画などは見たことがありますが、ドイツは初めてかも?

先日見た「めがね」という映画もそうでしたが、何が起こるか…というあらすじよりも、その作品の空気感というものが重要な映画だと感じました。哀しい映画でもなければ、コメディみたいにケラケラ笑う作品でもない。大きな何かがあるわけではないけれど、なんだか見入ってしまう。そんな感じ。

見終わった後、ちょっとほっこり優しくなるような映画でした。夫には、霧雨の中にいるような感じ…と言ったのですが、何を言っているんだという顔をされてしまい残念でなりません…!

もう一度見るとしたら、10年後くらい。その時はどんな風に思うのかなぁなんて妄想するのも楽しかったです。

よもやま話

冒頭、スーツケース1つで生きる人のお話をしました。実際に人が生きていくために必要な物ってそんなに多くないのだなぁと改めて気づかせてくれるのですけれど。

バグダッドカフェの作中でジャスミンの荷物はそれよりも少ないんです。トランクの中身を入れ間違えてしまったから。それでも創意工夫でジャスミンは何とかしていくし、なんだかんだ今あるものだけ生活ができるんだなぁ…って。ミニマリスト的な視点から見るのも楽しかったです。