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シンプリストになりたいのです

おでかけ記録(紅ミュージアム・ミニチュア愛!展)

東京都港区青山にある「紅ミュージアム」にお邪魔してきました。とても素敵な展示をみることができましたので、感想などを綴っていきたいと思います❀

ミュージアムとは

東京メトロ表参道駅からゆっくり歩いて15分ほどのところにある「紅ミュージアム」。こちらは、江戸時代から続く最後の紅屋「伊勢半本店」さんが運営されるミュージアムだそう。常設展では紅や化粧の歴史や、どのようにして作られるかなどを知ることができます。

www.isehanhonten.co.jp

企画展 ミニチュア愛!

ミュージアムの企画展で行われているのが「ミニチュア愛!」展です。

www.isehanhonten.co.jp

雛道具研究家であられる川内由美子さんが長年にわたって蒐集されてきたミニチュア雛道具たちを、楽しむことができるミニチュア好きにはたまらない企画展。ミニチュアですから、もちろん小さいです。ただそれだけではなくて、もともと小さく作られている雛道具をさらにさらに小さくしたものたちですから、もうとてつもなく小さいんです!

写真OKとのことでしたので、今回撮影したものをいくつか紹介します。

ひな祭りに行う、貝合わせの貝。本来の貝合わせの貝は蛤が使われますから、たぶん5~8㎝くらいの大きさだと思います。それがなんと小指の爪先くらいの大きさに。きちんと1枚1枚絵が描きこまれているのがすごいです。

そういえば、ところどころにまるで「大」の字のような牡丹の絵が描かれていますよね。↑こちらの写真でも左の黒漆に金の牡丹唐草の模様と大きな牡丹がえがかれています。なんでもこれは通称”大の字牡丹”といわれて七澤屋の象徴とされているんだそうです。

七澤屋って、初めて聞きましたがどんなお店なのでしょう?ちょっと調べてみました。

近世にては江戸下谷池の端なる七澤屋と稱する有名な雛人形店にて製したものが最も巧みであると言って、今に持て囃される。

(国立国会図書館デジタルコレクション『地軒翁骨董談・骨董の知識及鑑定法』第三編 古玩雑品 229コマより)

dl.ndl.go.jp

池の端仲町に七澤屋といひて玩物の精巧(たくみ)なるを造り諸大名の奥方へのみ買込み(うりこみ)しものありしが罸(つみ)を恐れて急に木綿店となり其外浅草の越川通町の白木なども皆 高料の品を売けるが共に休業したりとぞ

(国立国会図書館デジタルコレクション『徳川太平記 第9-12編』190コマより)

dl.ndl.go.jp

こちらは天保十(1839)年十月十一日の水野越前守の矯風令に関する文献から見られた文面ですね。この時代にはもう、精巧な雛人形を作っていたというのですから、なんだかびっくりです。

ちなみに江戸下谷池というは、現在でいう東京都大東区の西半分で、池の端仲町が上野の不忍池の西側かと思われます。当時のマップがこちら。

codh.rois.ac.jp

そういえば不忍池といえば、以前お邪魔した上野にあるあんみつ みはしさん。

お寺への参道を不忍池からの川が横切っていまして、3つの橋が架かっていました。3つの橋で三橋(みはし)、旧町名でもあります。

(以下URLより引用)

www.mihashi.co.jp

yu1-simplist.hatenablog.com

江戸マップを見てみると、確かに3つの橋がかかっているのがわかります。なんとご近所さん!こういうところで点と点がつながるととてつもなくうれしくなります。なんでも経験して、知っておくものだなぁ❀

七澤屋に関しては、江戸時代から雛道具をつくっていたことや、さらにそのミニチュアを制作し、「ぜいたく屋」と呼ばれていたことなどはつかめたのですが、いつからミニチュアを作っていたのか…などが書かれた文献は見つからず。また追々調べてみたいと思います。

ミニチュア愛!展に戻りましょう!

書き物に関するミニチュアたち。よーく見ると墨をするための硯や筆、書見台などが並んでいます。奥の方をよーーーく見ていただくと、縦長の箱には「八代集」と書かれています。

八代集平安時代中期~鎌倉時代初期にかけて撰集された8つの勅撰和歌集(古今和歌集とか)の総称なんだそうです。そしてこの箱、その和歌集を入れた箱なんだそうで。

よーーーーーーくみると和歌(?)のようなものが書いてありました!

artsandculture.google.com

Google Artsから見ていただくと大きさのイメージなどが付きやすいと思います。本の形にするのに、製本縫いをしていますが、こちらもしっかりリアルなものが再現されていて、もう執念のようにすら感じます。

こちらは双六、囲碁、将棋。将棋の駒なんて、2~5㎜くらいととんでもなく小さいのにちゃんと”王将”だとか”桂馬”だとかが書かれています。どれだけ細い筆を使えばかけるのでしょう?江戸後期の作品だそうですので、日本人って昔から本当に器用で細かい作業が得意だったんだなぁ…とため息が。

こちらは牛車。牛さんの目がとてもつぶらで、なかなか可愛らしいです。実際に触ったわけではありませんが、タイヤ部分も動かせるはず。ふと実家にあった雛飾りを思い出したのですが、牛車や籠のようなものがあったように思います。今も伝統として残っているのですね。

犬の人形かな?と思っていたのですが、これは犬筥というものだそうです。

犬筥とは一対の犬をかたどった張子の箱です。犬は安産でなおかつ多産なことから、出産の場を守る飾りとして用いられました。また江戸時代になると雛段にも飾られるようになり、少女の成長と幸せな未来を祈る意味も込められるようになりました。

(以下URLより引用)

bunka.nii.ac.jp

犬…ですが、人間じみた顔をしていますね。人面犬のよう。上下にパカっと開いて、中に物が入れることができるという、今でいうところの小物入れのようです。よくみると、犬筥の足のあたりに横一文字に線が入っています。きっと、この子たちも上下にパカっと開くことができるんだと思われます。こんなに小さいのにすごいです!

そのほかにもちいさいお人形。指先に乗せることができそうですが、ちゃんと表情があってかわいいですね❀

ここまでは雛道具を中心に写真を紹介しましたが、ここからは普段の生活を切り取ったようなミニチュアたちを。実は私、この風景を切り取ったようなミニチュアが大好きなんです。

こちらはお台所でしょうか。建物内の右側の壁に小さな籠がかかっていますが、そのすぐ下にご注目。蛇口があるんです。こちらは大正時代のミニチュアですが、このころには蛇口で水が汲めるようになっていたことがわかります。

こういう発見がたまらなく好きなんですよね。今、当たり前にあるものも、それが生まれた瞬間ってあるわけじゃないですか。例えば窓にガラスをはめるようになったのは何時、何処が始まりなのかとか、カーテンは、ちゃぶ台は…と。そういったシーンに触れることができて大変うれしいですね❀

あさがお。江戸時代の江戸っ子といえば、変化朝顔が浮かびます。暇を持て余してしまった武士たちが、仕事がないので朝顔を副業にしていた…なんていうお話を聞いたことがあります。そう考えると、今 流行の副業ですが、なんら珍しいことではないように感じます。

画面中央、金魚の入った桶の右斜め上に小さな蛙がいます。なんとこの蛙、動くんだそう。いったいどんな風に動くんでしょう…きになります。こういうギミックがあるの、いいですよね。

これまたひとりで喜んでしまった、蚊やり豚。大正~昭和にかけてだそうですが、このころから豚さんだったのね。豚さんは日本では江戸時代から食べられるようになったと記憶しています。ということは、江戸時代くらいから豚さん蚊取り線香はあったのかしら…と思って調べてみたら、やはりそうでした。

(以下URL「軽量計測データバンク」を参照)

www.keiryou-keisoku.co.jp

なんとも可愛らしい、蚊やり豚…ほしい!

八百屋さん、ニンジン、大根、カブなどが並んでいます。きっと昔はこういうお店がたくさん並んでいたのでしょうね。幼いころから商店街に馴染みがなく、こういったお店とは縁がありませんでしたのであまり存じ上げませんが、スーパーができる前の風景を思い起こすことができました。

果物屋さん。りんごのような赤い実と黄色く熟れたバナナがありますね。戦前からバナナは食べられていたそうですから、昭和の初期ではこういった光景は日常だったのかしらん?

和菓子、詰め合わせ。和菓子好きにはたまらない…!紅白饅頭やおはぎなどたくさんあって、どれも可愛い…!やはり甘味のミニチュアはたまらないですね❀

こんな感じでずら~っと食べ物が並んでいるのはとても愛らしいです。

夫が気に入ったのはこちらのお寿司。先日、神保町で江戸前寿司を初チャレンジした私としてはこれが何寿司なのか気になるところ。赤酢の酢飯なのかしらん?

金物たち。江戸時代後期~昭和前期まで大集合。どれがどの時代か想像してみるのも可愛いですね。鍋敷きが小さすぎて、写真にして初めて気が付きました。

お裁縫道具。小さい!このあたりも細かいギミックが詰まっています。

懐かしい昭和レトロな家電たち。かわいいっ!

私が幼いころ、10㎝くらいの高さの箱にミニチュアの食べ物や小物と、おまけ程度のガムやラムネが入っているお菓子が売っていまして。今ももちろん販売されていますが、ランダム封入でなかなかほしいものが出なくて、でもお小遣いもそこまで多いわけではありません。ちょっとずつ集めるのがとても楽しかったなぁ。シルバニアファミリーとかも一時期はまったなぁ。

今はミニチュアも多岐にわたって、ガチャガチャであったり100円均一などでも手軽に可愛らしくて面白いミニチュアをゲットすることができますよね。たまに昭和レトロな家電やカフェメニューなんかを見ると、つい財布の紐がゆるみそうになって困るんです。

つらつらとミニチュアに関して綴ってきましたが、ミニチュア愛!展では更にたくさんのミニチュアが飾られ、解説文付きで紹介されています。展示は7日までですが、川内さんご自身のXやInstagramでも素敵なミニチュアの写真をあげられていますので、興味のある方はぜひ❀