SIMPLE

シンプリストになりたいのです

文をしたためる

”手紙”を最後に書いたのはいつでしょうか?

まだ学生の頃は、授業中に友人と手紙交換をしたりしましたが、携帯電話が普及して、手紙ではなくメールになって、メールすら使わなくなって、今はLINEやSNS。誰かを思って手紙をしたためるということを随分しなくなったように思います。

お手紙といえば、昔から憧れていることの1つに”文通”があります。顔も知らない、会ったこともない誰かと、手紙で関係性をゆっくりと築き上げていく。ロマンティックだと思うんです。

森見登美彦さんの小説でも文通の描写が出てくるのですけれど、どれも素敵なんです。『恋文の技術』はもっぱら手紙でお話が進んでいきますし、『四畳半神話大系』でも主人公が古書にあった住所の相手と文通する話があります。あとは、青山美智子さんの『木曜日にはココアを』でもお手紙を書いているシーンがありました。カフェの店員目線で紡がれる物語の登場人物で、常連客であるその女性はいつもココアを頼むのであだ名は「ココアさん」。ココアさんはオーストラリアにいる友人に思いを馳せて文をしたためていました。誰かを思って文をしたため、見えないなにかを想像する、面白さ、美しさのようなものを感じた気がします。

今はいつでもだれとでもリアルタイムでつながることができます。文字だけではなく、音声、映像もリアルタイムです。そういったダイレクトな繋がりも素晴らしいことなのですけれど、あえてレトロな、ちょっと不便な方法で誰かと繋がりたい。今の私には、じれったい、くらいがちょうどいいのかも。

 

いつか誰かに手紙を書くときに使いたいと思って、大切にとってあるものがあります。それがガラスペン。

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夫から誕生日プレゼントとして購入してもらったものです。20代前半で文房具店でアルバイトをした経験があるのですけれど、その頃からずっと憧れていたガラスペン。最近はガラスペンが随分と人気になったようで、インクのカラバリも増えているとのこと。嬉しいお話ですね❀

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夫といくつもお店をまわって、デザイン、色、手にしたときの感覚などを吟味した結果、このペンをお迎えしました。吸い込まれるような深い青がとてもきれいで、眺めているだけでうっとりとしてしまいます。

普段から文字を頻繁に書く方ではありますが、普段使いとして使うのはどうしても勿体なく感じてしまって…。特に初めて書くものは、特別なものでありたいと思っています。

昨年、とある方へお手紙を送りました。いわゆるファンレターで、このときは普通のボールペンで文をしたためました。その方からまさかのお返事が来たときは舞い上がってしまうくらい嬉しくって、ジブリの『コクリコ坂から』のポストカードに直筆で書かれた文字がとても愛おしくて愛おしくて。その手紙は私にとって大切な宝物です。

ここ最近、小川糸さんの書かれるエッセイにハマってからというもの、小川糸さんの本は私にとっての癒しであり、教科書になりました。それからどんどん、この感謝を伝えたいな、ファンレターを書きたいなと思うようになりました。ご自身の著書のなかでも、ファンレターについて触れておられて、好意的に受け取られているということが解りました。なんと…これはそのときが来たのやもしれません。

ガラスペンの一筆目は、小川糸さんへのファンレターに使うかもしれません、なんて思っています❀

やっぱり、いつか、誰かと文通をしてみたいなぁ