SIMPLE

シンプリストになりたいのです

旅行記録(箱根・ポーラ美術館編②)

前回に引き続き、箱根旅行でお邪魔したポーラ美術館について綴りたいと思います❀

yu1-simplist.hatenablog.com

↑こちらでは道中とポーラ美術館にあるレストラン アレイでのことについて綴りました。早速企画展示について触れていきたいと思います。

企画展示

私がお邪魔した2023年6月中は「部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで」という企画展示が行われていました。流行病以降、生活様式は大きく変化し、「部屋」の在り方も大きく変化したように思います。それまで「寝に帰る場所」だった部屋が「働く場所」に変化したという人も多いのではないでしょうか。部屋とは閉じられた空間です。しかし安心できる空間でもありますよね。

そんな部屋にスポットをおいて、19世紀から現代にいたるまでの「部屋」をテーマにした作品が取り上げられています。

f:id:yu1-simplist:20230626142316j:image
展示スペースは大小さまざまな部屋に仕切られ、展示スペースでまるで一軒のおうちのようになっています。決まった順路が設けられていませんので、誰々さんの部屋をみて次は…と思うままに作品を楽しむことができます。

今回作品を拝見した中で特に心惹かれたいくつかの作品を紹介いたします。

ベルト・モリゾ

一目惚れしてしまった作品です。

f:id:yu1-simplist:20230626142334j:image

印象派の女性画家 ベルト・モリゾ。こちらの作品は娘ジュリーを描いているそうです。差し込んだ光がブロンドの髪をキラキラと輝かせて、また赤みをもった頬のなんと愛らしいこと。写真では以前も拝見したことがあったのですけれど、これはもう全くの別物。モネもそうですが印象派の光を捉えた画家の作品は特に、筆致であったりを楽しむ為に実際の作品を観たいものです…いやぁ美しい。奥に見える森とその奥に佇む青い屋根の御家、この風景がまるで箱根のペンションのようで…なんてこのポーラ美術館にふさわしい作品なんだろう…ほうっとりしてしまいました。

推し作家ができましたので、また彼女について深く調べてみたいと思います。

ヴィルヘルム・ハマスホイ

f:id:yu1-simplist:20230626142355j:image

こちらも一目惚れしてしまった作品。ヴィルヘルム・ハマスホイは初めましての画家だと思います。

デンマークの画家で、100点以上の室内画を描いているそうです。この「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」という作品もそうですが、くっきりとしたラインと灰色を中心に黒・白・灰色という限られた しかも暗く冷えた印象を受けるはずのカラーリングなのに、どこか暖かいものを感じます。この他、奥様がピアノを弾いている絵もありましたが、どちらもカラーリングは同じですがやはり暖かいのです。なぜなのでしょうかね。愛情込められて描かれているからなのかしら?

佐藤翠+守山友一朗

f:id:yu1-simplist:20230626142345j:image

目が釘付けになってしまった作品。佐藤翠さんはクローゼットを主題とした作品を描き続けてきたそうです。愛着のあるものを収納するクローゼット。そこはある意味宝物入れでもあり、自分だけの空間でもありますよね。

この作品も一見すると写真にしか見えない絨毯。でも見れば見るほど絵画で、でもさらにみていると絵なのか写真なのかわからなくなってゲシュタルト崩壊のような感覚に陥った作品。絵を描くためのイーゼルの影なのでしょうか、その光の具合がとても素敵だと感じました。

f:id:yu1-simplist:20230626142403j:image

同じ方でもう一枚。先ほどのの絨毯と同じものが敷かれていますね。また別の角度から描かれたものだとわかります。何がいいって、この部屋めちゃくちゃかわいい!!というところ。この趣味好きっ!で、結構大きな作品なのですが細かいところまでまじまじと見てしまいました。この他の作品もどれも可愛くて素敵で…。特に花を描いた作品が美しくって…部屋に1枚飾りたいなって思いました。

高田安規子・政子

f:id:yu1-simplist:20230626142417j:image

わかんないけど、好きな作品。お二人は一卵性双生児の双子のアーティストユニットなんだそうな。まず扉をテーマにした作品。

鍵をさしたままの大小の扉は、部屋という空間を閉じる/開くという行為と繋がり、徐々に外へと出かけていくことが増え、閉鎖から解放へと向かいつつある私たちの現状を示唆するとともに、向こう側に広がる減階への想像を掻き立てます。

(館内資料より引用)

冒頭にお話した流行病を経て現在。扉の開け閉めは象徴的なものになりましたね。ステイホームのあいだに感じだ あの閉塞感は今でも鮮明に覚えています。それが今はこうして旅行ができるほど、解放された世の中になりました。まだ油断していいわけではありませんが、時代はまた変わっていくのだとこの作品をみて感じました。

ちなみに大きい方の扉は我々が普段使っている扉のサイズ、右側にある小さい扉は1/12サイズだそうですのでドールハウスなどで使われるサイズ感なのだと思います。

f:id:yu1-simplist:20230626142425j:image

小さい扉にも小さい鍵穴、そして鍵が刺さっています…小さい!どんどん大きくなっていくのが面白いです。

f:id:yu1-simplist:20230626142432j:image

個人的にこの鍵がお気に入りです。

f:id:yu1-simplist:20230626142447j:image

同じ方でもう1作品、こちらは窓をテーマにした作品です。この距離ではよくわかりませんので寄ってみると…

f:id:yu1-simplist:20230626142455j:image

小さな窓がたくさん。よくみるとガラスがスリガラスになっていたり、モダンなガラスだったり、窓枠もそれぞれ違います。扉がひらいているものもあり、みていてこれまた面白い作品でした。奥に見えるのは建物の奥にそびえる箱根の山。ですので時間や天候によって見える景色も異なってくるということ。みる時々で印象が変わる…夜、暗くなったあとの作品が見てみたいものです。

草間彌生

f:id:yu1-simplist:20230626142504j:image

名前を拝見しなくても一目でわかってしまう草間彌生さん。もうインパクトが半端じゃないんです。1回みたら絶対忘れませんし、夢にでてくるかも…と思ってしまうくらいの印象が強い作品でした。

こんな風に、印象派から現代アートまで「部屋」をテーマにした作品が様々展示されていました。展示期間は7月2日までとあとわずかですが、ぜひ見てみてほしいと思います。

常設展示

ポーラ美術館といえば、企画展示もさることながら常設展示が素晴らしいという印象があります。今回初めてお邪魔しましたが、印象派が好きな私としてはポーラ美術館はたまらない空間でした…!

f:id:yu1-simplist:20230626142513j:image

ゴッホ
f:id:yu1-simplist:20230626142526j:image

ゴーガン

何処の美術館でもこの2人は並んで展示される運命なのですね。

f:id:yu1-simplist:20230626142518j:image

そしてモネ。

f:id:yu1-simplist:20230626142540j:image

お恥ずかしながら、私国内にモネの水蓮がみられるところがあるとは知りませんで…。今回も常設展示にモネがあることは存じ上げていましたが、それが水蓮だとはつゆにも思わず…常設展示でこちらを拝見したときはとても感動してしまいました。横にいる夫にモネの解説はしてしまったほど…いやはや。この一瞬をとらえるための筆致…好きです。常設展示も定期的に入れ替わると思いますので、また展示内容が変更されたらみに行きたいなと思います。

今回新しい、そして嬉しい発見がありました。夫は美術館巡りについてきてくれますが、作品自体にさほど興味があるわけではありません。ですので私が好きな作品を一緒にみてくれているという感じでした。それがですね、ゴーガンの作品をみていた際に「ゴーガンや」と言った夫に「ゴーガンらしい絵やな」と私が返したことにとても興味をもったようです。夫からすると「自分にでも描けそうなベタ塗りの絵やのに、らしさがあるのか」という発見があったようです。晩年のゴーガンの作品はあまり国内にはありませんので、みに行く?と気軽に誘えないのが残念ですけれど、秋に開催されるSOMPO美術館のゴッホの企画展示にもきっとゴーガンの作品は展示されると思いますので、それにも誘ってみようと思います。こうして自分の行動や発言がきっかけで新しい興味をもってもらえるというのは嬉しいものですね。

おまけ・遊歩道

f:id:yu1-simplist:20230626142548j:image

ポーラ美術館のまわりには遊歩道があり、山間のなかにも様々な美術作品があります。今回は短いルートをお散歩しましたが、自然を堪能することができました。

ちなみに↑はポーラ美術館のチケットカウンターの奥にそびえていたもの。犬(?)が2匹。勝手に「喧嘩してる犬」と名付け、勝手に愛でていました。どなたの作品で、どういったものなんでしょうか。こうして勝手に妄想するのも楽しかったりします。私は素人ですので美術作品の正しい見方なんてわかりませんし、その背景にどんなバックボーンがあるのかもよくしりません。それでも、取り込んでみて「好き」であったりそうではないとい感情、「何故かざわざわする」といった不思議な感情。いろいろあります。そういったものをこれからも楽しんでいけたらいいなと思っています。

箱根旅行1日目はこのあたりで。次回は箱根旅行2日目についてつづっていきたいと思います。