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シンプリストになりたいのです

映画・しあわせのパン

「companio(カンパニオ)」という言葉をご存知でしょうか。ラテン語で「パンを分け合う人々」という意味があるそうです。1つのパンを分け合う仲間、家族や友人や恋人。そういった人はいますでしょうか。

1人じゃなく2人だと気づく瞬間があります

(劇中より引用)

1人で生きているつもりでも、誰かと知らない間に寄り添っていたということもあります。今回は映画「しあわせのパン」をみましたので、それについてネタバレまじえて綴っていきたいと思います。

あらすじ

北海道・洞爺湖のほとりの小さな町・月浦を舞台に、宿泊設備を備えたオーベルジュ式のパンカフェを営む夫婦と、店を訪れる人々の人生を式の移ろいとともに描いたハートウォーミングドラマ。

りえと尚の水縞夫妻は東京から北海道・月浦に移住し、パンカフェ「マーニ」を日炊く。尚がパンを焼き、りえがそれに合ったコーヒーと料理を出すマーニにはさまざまな人々がやってくる。

(映画・COMより引用)

eiga.com

季節ごとに とある2人の愛にまつわる葛藤や悩みのエピソードが描かれていて、水縞夫妻は暖かいパンやごはんでそれを支える、といった感じ。主人公である りえさんにも実は抱えているものがあって、それを様々なひととの交流を通して解決していきます。

感想

作中にでてくるパンは何処か素朴で懐かしくて、飾り気がないけれど はずれないそんなパン。高級食パンやきらびやかなパンもいいけれど、ちょっと疲れたときこそ素朴ないつものパンが身に染みたりするものです。この映画も全体的に素朴と表現していいのではないでしょうか。

面白いか、と聞かれると普通と答えるしかありません。雰囲気はとても良いですけれど、2012年の作品で時代背景が今とは違います。あの時代ならではの真っ直ぐさのようなものが、今観ると ひいてしまう というようなところはありました。セリフの一つ一つが直球過ぎるんですよね。ただ現実でされるとお節介でしかないそれらが美しくみえるのがファンタジーのいいところなのかもしれません。

かっこわるい自分を知っている人が大人だと俺は思います。

もがいたことのある人間じゃないと幸せはないと思います。もがいてもがいて恥かいて、良いじゃないですか。

(劇中より引用)

皮肉とかではなく、真っ直ぐだなぁって。

個人的には大泉洋さんがいい雰囲気をかもしだしていていいなと思いました。大泉洋さんの独特の あのゆるい空気感と、ちょうどいい普通の人感。あの役をイケメン俳優がされていると話がかわってくるんですよね。大泉洋さんもかっこいいんですけど、かっこよすぎないのがむしろ良いというか。本当にいい塩梅でした。

きっかけ

唐突に11年も前の作品を観た理由ですけれど、この間みた「ビブリア古書堂の事件手帖」。あれと同じ監督さんの作品を観てみようということで拝見しました。今年は好きな映画監督が見つかればいいなぁと思っているのですけれど、なかなか難しいようです。美しい世界観ではあるのですが、全体に女性的な感性が強すぎて、ナチュラルに作品全体を楽しめないというか…決して悪くはありませんけれど。押しつけが強いとは感じました。代わりに好きな人はすごい好きな作品で、繰り返し観るんだろうなぁとも。こればかりは相性ですね。

好きな暮らしがしたいって思ったんです。好きな場所で好きな人と散歩して食べたいもの食べて、パン焼いて。自分たちが感じた季節をパンを食べてくれる方たちにも感じてほしいんです。

(劇中より引用)

そんな暮らしがしたいなぁと私も思います。