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シンプリストになりたいのです

映画・漁港の肉子ちゃん の感想

映画『漁港の肉子ちゃん』という作品を見ました。感想をネタバレ交えて綴っていきたいと思います。

あらすじ

北陸のとある漁港に一艇の船が浮かんでいます。そこには二人の母娘が住んでいました。

母はいじらしく、ひたむきに明るくて天真爛漫な女性。でも太っていて、ちょっとブサイクで、抜けていて、男の人にだらしなくて…。彼女は肉子ちゃんというあだ名で皆に親しまれています。娘のキクコ(キクリン)は目鼻立ちのすっきりとした顔だちにほっそりとしたスタイル、読書が好きな知的な小学5年生。

肉子ちゃんが男に騙されてフラれる度に大阪から名古屋、名古屋から…と北上しながら住む場所を転々として、気がつけばこの北陸の街にやってきていたのでした。

漁港に辿り着いた肉子ちゃんは、焼き肉屋「うをがし」の店主であるサッサンと出会います。肉子ちゃんを気に入ったサッサンは”お腹を壊さないこと”を条件に「うをがし」での仕事と、船に住まわせてくれることになったのでした。キクコはこの小さな町での暮らしを気に入っているようです。

そんな生活が3年程続き、キクコは小学5年生。思春期を迎えています。肉子ちゃんのことは大好きだけど、ちょっと恥ずかしい。それに学校での友人関係に悩んだり、自分の身体についても少し思うところがあるようです。そんなある日、同級生の二宮が、人の見ていないところで変な顔をしていることに気がつきます。それ以降、ちょっと二宮が気になります。

さらに、最近肉子ちゃんの様子がちょっとおかしいんです。夜中にこそこそと電話をしているのも気になります。また男に騙されてフラレてしまっては、今の生活がまた変わってしまうかもしれません。そして、肉子ちゃんとキクコの秘密が明かされることになるのでした・・・

よもやま話

西加奈子さんの小説を原作に、お笑い芸人として有名な明石家さんまさんが企画・プロデュースをした『漁港の肉子ちゃん』。肉子ちゃんの声は、明石家さんまさんの元奥様である大竹しのぶさんがされています。

全体的に暖かくて、優しくて、どこかくすっと笑えて、そしてちょっと不思議な物語。キクコという少女が一段一段大人の階段を上る姿を見ているような感じでした。肉子ちゃんの愛を一身に受けて育ったキクコちゃんも愛に溢れていて、ちょっとツンデレなところがまた可愛いかったです。

明石家さんまさんがプロデュースというと、お笑い色が強くなってしまうのかな?と思っていたのですけれど、そんなことは全然ありませんでした。失礼な言い方かもしれませんが、真面目に映画をつくられたんだなぁと。お笑いを入れることが不真面目というわけではないのですが、その人の色が濃く出てしまうのであれば、それは最初からオリジナルですればいいと思うんです。そうではなくて、ちゃんと原作の空気感であったりを壊さないように、邪魔しないように作られているのがよくわかりました。と言っても原作を読んだことはないんですけれどね。それでも伝わってくるものがありました。

西加奈子さんはご本人がゲストでTV出演されているのを何度か拝見したことがあって、ちょっとクセのあるユーモラスな方だという印象がありました。ちらっと本を読んだときもそれを感じて。自分とは感性があまり合わないかも…と思い、今まで触れてはこなかったのです。

でも『漁港の肉子ちゃん』のハートウォーミングな感じはすごい好きだなぁと思ったので、いずれ読んでみたいと思います。食わず嫌いならぬ、読まず嫌いかもしれませんからね。