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シンプリストになりたいのです

映画・ツユクサ の感想

6月の花というと紫陽花を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

私が生まれ育った奈良県には長谷寺と呼ばれるお寺がございます。「花の御寺」とも称されるお寺で、四季ごとに色とりどりの花が芽吹き、その姿がとても美しいのです。その中でも紫陽花が有名で、階段沿いに一面に咲き誇る紫陽花はまるで絨毯のようでした。

紫陽花以外ですと「ツユクサ」を思い浮かべる方もおられるのではないでしょうか?

今回は「ツユクサ」という映画を拝見しましたので、感想をネタバレ交えて綴っていきたいと思います

あらすじ

主人公の五十嵐芙美は、小さな港町で一人暮らしをしています。タオルをつくる工場で働きながら、同僚の友人2人と他愛のない会話を楽しむ姿は、一見すると はつらつとした明るく元気な女性。

しかし彼女はある悲しい過去をきっかけにアルコール依存症に陥っていたのです。そのため、この町に越してきて、少し前から断酒会に通っています。

断酒会の帰り、暗い夜道を運転していると前方から眩しい光が差し込んできました。その瞬間、芙美が運転する車は何かにぶつかり、車が横転してしまう事故が起こるのです。なんと、落ちてきた隕石の破片が車にぶつかったのでした。奇跡的に軽傷でしたが、車はレッカーで移動させることになりました。

ちなみに隕石がぶつかる確率は1億分の1。まずありえないとされていることでした。

芙美には、仲良くしている同僚の直子と妙子がいます。直子の息子 航平は、宇宙や天文学に興味のある男の子。航平と芙美は年の離れた親友でした。

航平と芙美は、事故のあった付近の浜辺を捜索し隕石を発見しました。大学で調べたところ、その隕石は月の石だということがわかります。航平は2つに割れた隕石のうち、1つを芙美に、1つを自分のものとして持ち帰りました。

 

芙美には毎日ジョギングをするという習慣がありました。その際に、長身の男性とすれ違います。軽い会釈を交わすくらいで目立った交流はありませんでした。そんなある日、芙美が馴染みのバー「羅針盤」でナポリタンを食べながらマスターと談笑していると、その長身の男性が店に入ってきたのです。

彼はマスターからお使いを頼まれて、少し席をはずしていただけのようでした。よく見ると隣には飲みかけのお酒と、ツユクサの葉が3枚置かれていました。彼の名前は篠田吾郎。そのツユクサは草笛に使うものだと言います。

それから少しずつ、芙美と篠田は浸しくなっていきます。けれど、彼らにはそれぞれ悲しい過去があり・・・

ツユクサとは

ツユクサとは、6~9月頃に山野の道端によく生えていて、2枚の青い花びらと黄色のコントラストが美しい花です。実家にいた際に、朝犬の散歩なんかにでかけると、目にすることがありました。線路沿いの雑草に紛れて咲いていたように記憶しています。

朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。

(Wikipediaより引用 ツユクサ - Wikipedia )

ツユクサは古くは「つきくさ」と呼ばれており、この「つきくさ」が転じてツユクサになったという説もある。「つきくさ」は月草とも着草とも表され、もともとは花弁の青い花が「着」きやすいことから「着き草」と呼ばれていたものと言われているが、『万葉集』などの和歌集では「月草」の表記が多い。

(Wikipediaより引用 ツユクサ - Wikipedia )

このツユクサですが、恋のうたでも使われることがあるそうで。

ツユクサ」は、朝露とともに咲き、露が消えるころにはしぼんでしまう花の状態をいったものだとも思われます。男女の恋のうつろいやすさを つゆくさ にたとえることにもなります。

(広島大学HPより引用 https://fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/fsm/data/37tsuyukusa.html)

感想

登場人物にはそれぞれ、悲しい過去であったり、人には言いづらい何かを抱えています。主人公の芙美にも、航平にも、そして篠田にも。

叶う恋があり、叶わなかった恋があり、新しく恋が生まれたり、恋が散って行ったり。様々は恋が描かれていて、さすが男女の恋の移ろいやすさを例えられる植物を題しているだけあるなぁと。関係あるのかどうかはわかりませんけれどね。

新しい一歩を踏み出そうとしている姿って、とても眩しくて、優しいんだなぁと思いながら拝見させていただきました。特別大きなことがあるわけではありませんが、疲れた時に見るととても染みそうです。

ちなみに私、何かの広告でこの映画のことを知りまして。「隕石がぶつかった女性が、それをきっかけに不思議なことが起こる…」みたいな紹介だったもので、ついついファンタジーなのかしらん?と勘違いしていしまして。実際は全然違うんで、ある意味拍子抜けしたりもしました。

個人的には演じられている方々がとても豪勢だなぁと思いまして。「かもめ食堂」でも主演をされた小林聡美さん、篠田役は松重豊さん、バーのマスターは泉谷しげるさんで、友人は平岩紙さんと江口のりこさん!どのキャラクターもその役者さんにぴったりな感じで、キャスティングした方が有能すぎる…と1人興奮しておりました。

推したいのは芙美・直子・妙子の三人が一緒にお弁当を食べているシーンや、3人の掛け合い。言い合いもしながらも、仲がいいんだなぁ、こういう関係性良いなぁって。3人でのシーンはあまり多くなかったので、これがもっとあると個人的には嬉しいなと思うのですけれど、そうしてしまうとコメディ映画になりそうだから、これがいい塩梅なのかもしれませんね。

梅雨の小休止に、ちょっとゆっくりサイダーでも飲みながら、観るのもいいかなぁなんて❀