本って月に何冊くらい読みますか?
本と一言で言ってもコミックや小説や実用書、雑誌などの逐次刊行物も含めると様々な種類がありますよね。更に読む方法も、紙の本を読むのか、電子で読むのか、耳で聞くのか…とこちらも多種多様。
文化庁が全国の16歳以上の大人を対象に行った調査(2024/1~3)で、1ヶ月に読む本の数(電子書籍を含む)を訪ねたところ、「1冊も読まない」と回答した人の割合は62.6%だったそうです。(以下のURLを参考)
大人が10人集まったとして、本を読む人はだいたい4人くらいという結果にあらためてびっくりしています。かくいう私も月に1~2冊読めばいい方なんですけれどね。
今回はそんな読書についての本『読書脳』を読んでみました。気になったり勉強になったところをピックアップしつつ、私見・感想を交えて紹介したいと思います。
読書脳 ってどんな本?
本書は2015年4月に刊行された『読んだら忘れない読書術』を加筆・再編集した1冊です。
そもそもどうして読書をする必要があるのかといった読書の前提から、記憶にのこす読書術、更には本の選び方に至るまで様々な内容が綴られています。更には、昨今では定番になった電子書籍についても触れられており、現代にも合った本との向き合い方が学べるのではないでしょうか。
著者は精神科医という一面もあり、脳科学的な裏付けもあるため、ただただ「本を読もう!」という自己啓発的内容ではないところもおすすめポイントです。
読解力低下が深刻な日本人
最近、強く思います。「日本人の読書離れが進んでいる。そして、日本人の読解力低下は深刻である」と。(中略)日本人の大人を対象にした読解力のテストでは、日本人の3分の1は、150文字程度の文章を理解できない、という結果が出ています。
(P4-5より引用)
SNSの普及から、私たちが日常的に目にする文章というものは非常に短くなりました。X(旧Twitter)では1ポスト(ツイート)の文字数制限は全角140文字、半角で280文字です。Instagramでも投稿文の文字数制限は2200文字。このように、少ない文字数に慣れてしまっているのではないでしょうか。
つまり、長い文章を読まない、そして書かないわけですから、読解力が低下するのは当然のことです。
読解力が低下すると、文章力が低下する。文章を書かないと、「深く考える」習慣がなくなりますから、「思考力」「判断力」までもが低下します。「読解力」=「理解力」でもあるので、読解力、理解力が低下すると、職場で仕事の指示を聞き違えたり、指示通りに仕事ができずにミスや失敗を連発したりすることになるでしょう。
(P5より引用)
読書をしない、長い文章に普段から触れていないことのデメリットにはこういった点があげられるようです。
ところで、1冊の本を読むのにどれくらいの時間がかかるでしょうか?だいたいですが、私は小説であれば~100ページで1時間、実用書であれば~60ページで1時間くらいかかっています。私は読むのが遅い方だと思いますが、1冊の実用書が300ページだとすると、その1冊を読了するのに5時間かかることになりますね。
たぶん、多くの方がこれを聞くと「読書なんてタイムパフォーマンスが悪い!」と思われるのではないでしょうか。そこは否定できません。
ですが、読書をすることで少しでも読解力、思考力、判断力、理解力、そして文章力がつくのであれば、私個人としてはそんなに悪いパフォーマンスではないのではないかと思います。
これからの時代にも必要な「読解力」「文章力」
これからの時代は、ChatGPTなどのAI(人工知能)が文章を書いてくれる時代だ!だから、「文章力、アウトプット力は必要ない」と思う人もいるでしょう。
(P6より引用)
ChatGPTとは、OpenAI社が開発したAIチャットサービスです。ユーザーが質問を入力すると、AIが回答を生成します。わずか数秒で導き出された回答ですが、まるで人間が入力したような自然な文章です。
質疑応答だけではなくて、たとえば「ミニマリストに関するブログを書きたいから、テーマを考えて」という指示(プロンプト)を投げると、いくつか候補を考えてくれます。更に「テーマの1つ1つを膨らませて、1本3000文字の記事かいてみて」と指示を出すと、ブログすら書いてくれます。なんと便利なツールでしょう。
しかし、このChatGPTに1つ問題があります。
プロンプト、すなわち指示となる文章、質問を入力すると、適切な回答が返ってきます。質問の仕方が下手だと、自分が望まないおかしな文章が出てくるだけです。つまり、文章力がなければ、AIを使いこなすことができないのです。
(P6より引用)
そうです、この指示(プロンプト)が上手く入力できないと、自分が望んでいるものとは違った回答が出てきてしまします。そのたびに、あぁでもない、こうでもないと訂正していくのですが、まぁなんというかいい意味でも悪い意味でも融通が利かないのです。「察して!」ができないので、自分のしてほしいことを上手く言語化、文章化する必要があります。
AIは私たち人間の何千倍、何万倍もの速さで仕事をこなしてくれます。言い換えるとAIを使いこなせる人は、「1000人」のアシスタントを雇うことに匹敵します。しかし適切な質問ができない人、文章が書けない人は、AIを上手に使えない。つまり、「1人力」で仕事をしていかなくてはいけない。その差は、1000倍です。
(P5-6より引用)
これからの時代、AIに関する技術は使えて当たり前になっていくかもしれません。そんなとき、文章力がなければただ呆然と立ち尽くすことになるでしょう。更に、折角AIが回答を導きだしてくれても、それを受け取る側に読解力がなければ、それを上手く使いこなすこともできないのです。
ありとあらゆる文字情報を取り込み、毎日進化しているAIに対して、年に1冊も読書しない人が、最適な質問を投げかけることは無理だと思います。
人間の脳を進化させることは、簡単です。インプットをして、アウトプットをして、フィードバックをするだけです。具体的にいうと、「読書」というインプット(入力)をして、「感想を書く」というアウトプット(出力)をする。そして、フィードバック(修正、改善)をする。自分の不十分な点を補強していく、その本の疑問を解消していく、さらに知りたいことを学んでいくのがフィードバックです。
「読書」を活用して、インプットをして、アウトプットをして、フィードバックをすることで、脳を進化させて「読書脳」を手に入れることができる。読書をベースとして、読解力、理解力、文章力、アウトプット力、思考力、分析力、判断力を無限に進化させることができる!
(P8-9より引用)
本書で特に重要なテーマとなるのが、太字にしたインプット・アウトプット・フィードバックです。どうしてそれが必要なのか、それぞれをこなすにはどうすればいいのか、が分かりやすく説明されています。
読書によって得られること
「読書が大切」というのは、なんとなくわかりましたね。ではここからは第1章以降の内容について触れていきたいと思います。まずは読書によって得られることについて。
- 結晶化された知識
大学図書館で働いていたときのこと。年度初めになると「図書館の使い方」や「調べものの仕方」を解説する授業が開かれます。もちろん私も図書館員の1人として、学生の皆様の前に立って解説したことがありました。
そこで「本を使って調べものをしてみましょう」というお話しをすると「本なんかで調べなくても、ネットで調べればいい」というお返事がときたま返ってきます。言い分はごもっともです。
確かに電車の乗り換え案内や、明日の天気、今日あった出来事なんかは、ネットの方がタイムリーな「情報」です。しかもいつでも、どこでもすぐに手に入れることができます。
でも、たとえば歴史や文学、芸術についてはどうでしょう?確かにWikipediaや様々なサイトで調べることができますが、その背景やソースまで確認することはできるでしょうか。その事柄について深くまで知ることができるでしょうか。
ネット情報は、「断片化」されています。つまり、体系化されていないということです。知識の一部分だけを知ることはできても、「本」のように物事の全体像を、順を追って体系的に学ぶことはなかなかできません。
(P35より引用)
ここで、ちょっと疑問が湧いてきます。そもそも本書における「情報」と「知識」とはなんでしょう?
1年たって古くなるのが「情報」、10年たっても古くならないのが「知識」です。ネット、テレビ、新聞、雑誌、週刊誌などで得られる内容は大部分が「情報」で、体系だった本から得られるのが「知識」です。
「情報」とは「事実」であり「結果」であり「事象」です。
「知識」とは事実、結果、事象の積み重ねから吸い上げられた「エッセンス」です。
もちろん、ネット上のサイトやブログで得られる「知識」もあります。逆に「情報」しか載っていない「本」もありますが、ザックリまとめるとネットは「情報」を得るもので、本は「知識」を得るものと言えるでしょう。
(P36より引用)
例えば歴史についても確かにネットでも調べることはできます。しかし、その多くは断片的です。もし その事柄を1冊の本にする場合は、間違いがないかきちんと分析・調査し、それを読みやすいように整理し、体系化する必要があります。ネットでちまちま探すより、本を読むほうが効率的…というか楽ですよね。
こういった言わば集大成のようなものが本であり、結晶化された知識というわけですね。
もちろん、「情報」も大切です。最新のニュースを視覚情報で得られるテレビ、一瞬で知りたいことを検索できて、多くの人の意見を見られるネット…。
これらから必要な「情報」を得ながらも、自分でさまざまな内容の本を読み、「情報」と「知識」のバランスをとっていくことが必要なのです。
(P37より引用)
著者も述べておられますが、もちろんネットにも「知識」はたくさんあります。NDL(国立国会図書館)のデジタルコレクションや、IRDB(学術機関リポジトリポータル)ではネット上でも質の高い知識に触れることができます。必要に応じてツールを選択するのも大切なことだと思います。
- 時間
1日の時間は24時間と決まっています。時間だけは平等です。ですから、時間の使い方をどうするかで、私たちが成功できるか、幸福になれるかが全て決まってしまうということです。
(P38より引用)
本を読んで時間が手に入るのか?って思いますよね。先述の通り、私は小説であれば100ページで1時間、実用書であれば60ページで1時間くらいの時間が だいたいかかっています。むしろ時間が減っているではないか!と思われるかもしれません。
しかし例えば、毎日30分かけている作業を1分にする方法がかかれている本を読んだとしたらどうでしょう?単純計算30分×365日で10950分(182時間30分)かかっていたものが、1分×365日で365分(6時間5分)に減らすことが可能です。176時間25分を節約することができるのであれば、もし1冊に5時間かかったとしても すぐに元が取れますよね。
知っているかいないかで、一生で何百時間も違ってきます。その大幅な時間を節約する知識が書かれているのが「本」なのです。そして、その何百時間を節約するために必要な経費は、本の価格、約1500円にすぎないのです。
(P40より引用)
本を通して時間を得ることができるのは、これだけではありません。
新しいことを始める場合、ゼロから試行錯誤する必要はないのです。何百時間も試行錯誤してくれている先人がいて、本にまとめてくれていてるのですから、その先人から試行錯誤を学べば良いのです。
(P41より引用)
何かを始める時、ゼロから始めると上手くいかずに膨大な時間を要することってありますよね。時間だけですめばいいですけど、何の知識もなく企業してしまったら、お金も無駄になってしまうかもしれません。もちろん試行錯誤は大切なことですが、必要なものと不必要なものがあります。
最初に本を一冊読むだけで、「基本操作や基本的な使い方」にかける試行錯誤をショートカットすることができます。いきなり高レベルな試行錯誤からスタートできるわけです。
(P41より引用)
仕事でPCソフトを使用することは度々あると思います。ソフトについて知識がある状態と、何も知らない状態では、1つの作業をするにもかかる時間は大きく違うでしょう。更に本にはその作業の成功体験や失敗体験がたくさん詰まっていますから、成果のクオリティにも大きな差が出るでしょう。
- 仕事力
職場で要領良く仕事をこなす「できる奴」というのは、なぜかいつも「準備」ができていて、チャンスが訪れるとものすごいスピードでかっさらっていくものです。
(P44より引用)
仕事であれ、プライベートであれ普段から自分の興味のあることにアンテナを向けておくことって大切ですよね。この「できる奴」は、あらかじめ自分の仕事に関する知識や情報を収集し、自分のなかで整理している。だからチャンスが巡ってきたときに、すぐに手を伸ばすことができるわけです。そのためには、普段から本を読んで蓄えておく必要があります。
文化庁の「国語に関する世論調査」(2018年度)での「1か月に大体何冊くらい本を読んでいるか」(雑誌や漫画をのぞく)という質問に対して、本を1冊も「読まない」と答えた人が、全体の47.3%にものぼっています。驚くことに、日本人の半数近くが本を読む習慣がないのです。
「1、2冊」と答えた人が37.6%。「3、4冊」が8.6%。「5、6冊」が3.2%。「7冊以上」が3.2%です。
つまり、月に7冊読むだけで、あなたは読書量において日本人の上位3%に入ることができるのです。
(P47より引用)
通勤時間のスキマ時間を使えば、月に7冊は難しい数字ではありません。
もしあなたのライバルが、月3冊しか読んでいないとすれば、月4冊、年間で50冊の差はつきますから、あなたはインプット量において、そしておそらくは「自己成長」の速度においても、ライバルに圧倒的な差をつけられるはずです。
「インプット量」で勝ち、「アウトプット量」で勝ち、自己成長のスピードで勝てば、あなたはライバルに圧倒的に差をつけることができるのです。その第一歩が「インプット量」を増やすこと。
そのために一番簡単なのは、読書量を増やすことです。
(P48より引用)
実際のところ7冊は大変かもしれません。けれど冒頭で紹介した2024年の文化庁の調査では「1冊も読まない」と回答された人の割合は62.6%とありました。本を1冊読むだけでも、38%に入ることができます。本を読まない人より、「読解力」や「文章力」少しリードできる。冊数が増えると更にリードできる。
これからの時代、仕事でもプライベートでも「読解力」と「文章力」とは離れることはできません。仕事では書類やメールが、プライベートではSNSなどで日々、文章と触れることになるでしょう。本を読むということは、そういったコミュニケーションを豊かにするということでもあるのですね。
- 健康
本を上手に活用できる人は、ストレスが緩和され、「悩み事」でクヨクヨすることから解放されます。しかし、この事実は、ほとんどの人が知りません。
なぜなら、読書家は問題や悩み事に直面しても、「本」を参考にして、早期のうちに解決してしまうので、大きなストレスや厄介な悩み事に煩わされること自体がないからです。
一方で、滅多に本を読まない人は、「悩み事」を抱えたとしても、「本を読んで問題解決しよう」とは思いません。
過大なストレスに支配され、大きな「悩み事」を抱えたとき、人は「視野狭窄」に陥ります。目先のことしか考えられなくなり、頭に思いつく選択しが減っていくのです。
(P55-56より引用)
「貧すれば鈍する」という言葉がありますね。人は困窮した状況に陥ると、目先のことで頭がいっぱいになってしまい、知恵や精神の働きが鈍ってしまうといった言葉だと私は思っています。これは貧しさだけに当てはまることではなく、病にも言えることだと思います。大きなストレスを抱えていたり、病になってしまうと、そのことでいっぱいになってしまいますよね。
人間の悩みのほとんどは既に先人が回答を探し出して、本の形で残してくれています。でもいくら本に解決策が載っているとしても、そんな状況で「そうだ、本で調べてみよう!」なんて、普段本を読んでいない人はならないのではないでしょうか。それに、もし「この本がおすすめだよ」と親切な誰かが渡してくれたとしても、本を読むにも慣れが必要ですから、なかなか難しいことだと思います。
この話をすると、次のように反論する人が必ずいます。
「いくら解決法を学んでも、実際に問題が解決されないと意味がないし、ストレスも減らないじゃないか」
悩み事の解決法がわかっても、悩み自体が解決しなければストレスは続く。この考え方が間違っていることは、脳科学的に証明されています。
(P58より引用)
本書ではストレスが軽減する根拠として、動物実験の結果が紹介されています。
つまり、「どうしていいかわからない」状態において、最もストレスが強くなる。対処法、解決法を調べて「何とかなる」(コントロール可能)とわかっただけで、状況は全く改善していなくても、ストレスの大部分はなくなるということです。
(P59より引用)
例えば、なんとなく腹痛が続く。病院に行っても原因は分からない。これって結構ストレスですよね。ですが、大きな病院に行って原因が分かったら、ちょっと楽になりませんか?腹痛自体は解決していなくても、原因が分かっただけでもちょっとホッとすることってありますよね。
更に本書では、「言語情報」が脳内に入ってくることで、ネガティブな感情が鎮まるといった研究結果も紹介されていました。
心配事があれば、その対処法について書かれた本を1冊買って読めばいい。「言語情報」によって不安は軽減し、「解決法を知る」ことでストレスも軽減するのです。
(P60-61より引用)
この他、読書にはストレスや不安を解消する効果があることが紹介されていました。
- 頭が良くなる
読書は私たちを「物知り」にしてくれるだけではありません。読書によって「地頭が良くなる」「知能が高くなる」「脳が活性化し、脳のパフォーマンスが高まる」ということは、多くの脳科学研究が示しています。
(P63より引用)
脳の成長は遺伝が大きく関係しており、二十歳くらいがピークである…みたいな話を聞いたことがあります。
脳科学研究の進歩で、脳細胞の一部は20歳をすぎても分裂、成長し、さらにそれは一生続くことがわかりました。
特に、神経細胞が枝を伸ばして、他の神経細胞とネットワークを構築するという「脳のネットワーク構築」は、一生にわたって行われます。脳のトレーニングによってネットワーク構築を活性化することもできますし、一方で脳を使わなければ、鈍化し、記憶力も低下し、認知症へと一直線です。
人間の能力は生まれたときに決まっている、というのは大間違い。あなたが30歳でも、40歳でも、50歳でも、今から伸ばすことができます。人間の能力は、脳を鍛えることによって、一生伸ばし続けることができるのです。
では、人間の能力を伸ばすために何をすればいいのか?それは「運動」と「読書」です。
(P63-64より引用)
読書によって「読解力」「文章力」があがるというのは何度もあげていますが、更には「記憶力」「思考力」「集中力」…と様々な能力が向上することが示された研究が本書では紹介されていました。
あるいは、最近では社会的な成功は、IQではなく、EQ(心の知能指数)やSQ(社会性の知能指数)に相関するという意見もあります。EQやSQでは「共感力」が非常に重要な意味を持ちます。この「共感力」は読書、特に小説を読むことで鍛えらえるのです。
(P66より引用)
様々な能力が読書を通して鍛えられることで、頭が良くなるということですね。
- 人生における変化
もしあなたが今の生活、今の仕事、今の収入を変えたいと心から思うのなら、「読書」をお勧めします。なぜならば、本にはこの世のほとんどの問題の解決法が書かれているからです。将来に絶望するのではなく、もっと多面的な見方を身につけることができれば、自分の未来に無限の選択肢と可能性が広がっていることがわかります。
自分が「変わる」。自分を「変える」自分の未来を「変えたい」と思うなら、とりあえずすべきことは読書です。
自分の頭でいくら状況を打開する方法を考えても、限界があります。しかし、「本」を読めば何千、何万人もの先陣の知恵を借用できるのです。
(P68より引用)
私がまだ20代の半ば頃、当時勤めていた公共図書館で出会った本がきっかけで私の人生は大きく変わりました。その本は2冊。禅の本と、物を手放すための本です。
どちらも有名な本なので、読んだことのある方が多いのではないでしょうか。
それまでの私は、いわゆる汚部屋の住人でした。部屋も、人生もいろんなゴミを溜め込んで日々鬱屈とした日々を過ごしていました。そういったものを手放すきっかけとなったのが、この2冊です。私のミニマリスト的人生はここから始まり、人生が大きく変化したと言っても過言ではありません。それまで自分にはなかった知識、考え方を教えてくれたのは間違いなく本でした。
本には他人の経験・体験がたくさん書かれています。自分が一生かかっても体験できない、何千、何万という生き方、生き様を本から学ぶことができます。そこに自分にピッタリと会った自分の転職、自分の生き甲斐、ワクワクする自分の夢などを見出す可能性は、非常に大きいのです。
あなたも「運命の1冊」と出会うことができれば、自分の人生を大きく変えることができます。
(P72-73より引用)
もちろん読んだ本の全てが運命の本というわけではありません。けれど、もしそういった本に出会うことができれば、その都度 自分にとって大きな変化があるでしょう。そして、その数は選択肢が増えることでもあるのではないでしょうか。
- 成長
読書の最終的な目的は何でしょう?「仕事力のアップ」「頭が良くなること」「収入アップや社会的成功」など、読書によって得られるものをいろいろ説明してきましたが、一言でいうと「自己成長」です。
(P79より引用)
もちろんただ好きだからという理由で読書をするのも良いものです。娯楽として小説、エッセイを読むのは至福の時間で「あぁ、いま私 優雅な気分だわ」なんて思うのが、私にとって癒しの時間だったりします。
ただ「自由になるための時間術!」とか「すぐやる行動力!」みたいな実用書を読む場合、求めるのは自らのプラスを伸ばす、もしくはマイナスを減らすためですよね。そういった自己成長をするために、今までの変化を変える。その知識を得るために本を読んでいるとしたら、話は変わってきます。
本を読んでも、その内容を実行しない人がほとんど。本を読んだだけで満足していしまう、という人が多いのです。「知的好奇心を満たす」というのも読書の目的の1つではありますが、それが最終ゴールになっては、100冊読んでも、現実は全く変わらないということになってしまいます。
「自己成長」が促進され、「考え方」だけではなく、実際に自分の「行動」が変化し、自分をとりまく現実が少しでも良くなるような読書をすべきなのです。そういう読書をしていけば、読書すればするほどに確実に自己成長し、幸せになることができるはずです。
(P80より引用)
そのためには何が必要なのでしょうか?それが本書のサブタイトルでもある「忘れない」ことがポイントになってくるようです。
- 喜び
普段、本をあまり読まない人からすると、数多くの本を読めるのは、何故なんだろうって疑問に思いますよね。
「自己成長のため!」と答えるとカッコ良いかもしれません。
確かに、「自己成長のため」の読書が私の最終目的ではあるのですが、日々の読書で本を開くたびに「自己成長するぞ!」と意気込んで読むことは、まずありません。
私がこれほどたくさん読書する理由は、「楽しいから」です。これがまず基本です。
(P81より引用)
これまで成長とか〇〇力を鍛える…とかが続いたので「楽しいから読む」という娯楽的読書はやはり日陰者か…なんて思いましたけれど、そうではないようで一安心。むしろこれが基礎なのですね。
そもそも論、楽しくないと継続することは難しいですよね。私は運動が大の苦手ですから継続は困難です。けれど運動が好きな方は楽しいからとか、成果が出て嬉しいからとかそういったポジティブな感情で継続することができているのだと思います。
無理矢理読書をしても、きっと記憶に残るのは「読むのが大変だった!」みたいなネガティブなものばかりでしょう。逆に楽しみながら読書をする方が、内容も記憶に残りやすいんだそう。それだったらやっぱり、楽しみながら読みたいものですね。
読んだら忘れない読書術
いくら大量の本を読んでも、記憶に残っていなければあまり意味のある行為とはいえません。第2章からは記憶に残る読書をするためには具体的にどういったことをすればいいのかが紹介されています。こちらも少しだけ綴ってみたいと思います。
- 10年経っても忘れない、記憶に残る読書術
さまざまな脳科学研究を集約すると、最も効果的な記憶術として「最初のインプットから、7~10日以内に3~4回アウトプットする」ということが明らかになっています。
(P91より引用)
脳には毎日、膨大な量の情報が流れ込んでいます。それを全て記憶していたら、脳がパンクしてしまいますよね。ですからのうは、情報を記憶するかどうかを取捨選択しているのです。
脳が「重要な情報」と判断する基準は2つです。「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」です。
(P92より引用)
この「何度も利用される情報」というのが、~10以内に3~4回アウトプットするということですね。でも4回もアウトプットするタイミングなんてあるでしょうか?私の場合はどんな感じが紹介します。
①本を読みながら、ブログに書くところに目印をつける。
②夫に読んだ本の内容や感想を話す。
③ブログに感想や、勉強になったところを綴る
…とこんな感じ。小説などであれば、SNSでシェアしたりすることもありますが、基本的にはこの3つです。映画でも同様のことをしていますが、確かにこのプロセスを踏んだ作品は記憶に残っているものが多いように思います。
- 効率的にスキマ時間で読書をする
ふとできたスキマ時間に何をするでしょう?SNSをチェックしたり、スマホでゲームをしたり…とスマホを使うことが多いのではないでしょうか。
スキマ時間を「浪費」に使うのか、「自己投資」に使うのか。この時間の使い方次第で、あなたの人生は変わります。
(P100より引用)
何をもって浪費か投資かは人によって違いますが、もしスマホの操作が浪費なら、投資できるものに変更してみる。読書が投資であるのであれば、読書量を増やすこともできますね。
「スキマ時間で本を読もう!」と思っても、ほとんどの人は、最初はそれをしっかり実行できないと思います。1ヶ月の隙間時間で、せいぜい数冊でしょう。
私が、スキマ時間を使って1日1冊読み切ることができるのには、ちょっとしたコツがあります。
それは、その日の外出前に「今日は、帰宅までにこの本を読み終える!」と決めることです。「目標設定する」といってもいい。今日1日で読破する本を決めて、その本をカバンの中に入れます。そして、その目標を可能な限り守るようにします。
(P101-102より引用)
人は期限がある方が行動できるそうな。いつでもいいよ と言われるより、いつまでに と言われた方が行動にうつすことが多いですよね。
- 「速読」より「深読」を意識する
私が考える「本を読んだ」の定義は、「内容を説明できること」、そして「内容について議論できること」です。感想や自分の意見を述べられなければ、本を読んでいる意味がないのです。
(P103より引用)
本を読み終えて数分しかたっていないのに、何が書いてあったか忘れてしまった…。なんだったら1つ前の章に何が書いてあったのか覚えていない…なんて経験がよくあります。きっと文字をなぞるだけで頭には入っていなかったのでしょうね。当然、そういった本の感想を述べることはできません。いくら速読技術を手に入れて数多くの本を読んでも、それではあまり意味がなさそうです。
最低限「内容を覚えている」「内容について議論できる」という「読書の質」を担保できなければ、どれだけ早く読んでも意味がないのです。もちろん、「内容を覚えており」「内容について議論できる」というレベルの読み方ができるのなら、2時間より1時間、1時間より30分で1冊読めたほうがいいのは当然です。
(P105より引用)
では、どうすれば「読書の質」を担保することができるのでしょうか?
本から学びと気づきを得て、「議論できる水準」にまで内容をきちんと理解するように「深く読む」読み方。こうした本の深い部分までを理解する読み方に、私は「深読(しんどく)」という新しい言葉を使うことを提案したいと思います。
(P107より引用)
ただ文字をなぞるのではなく、この文はこういう意味なんだなと理解する。これはどういうことなんだろうという疑問をもつ。自主性をもった読書と言えばいいのでしょうか。私はついつい考えなく読んでしまうことがあるので、次からはもうすこし注意して読んでいきたいと思います。
感想
本書の2章までについて触れてみました。まえがきでは何故本を読む必要があるのか といった前提が示され、第1章では本を読むことで得られるメリットについて学ぶことができました。更に第2章では具体的な読書方法について触れられ、「アウトプットとスキマ時間が重要」ということがわかりました。
3章からは更に細かい技法や、本の選び方についてが触れられています。普段、何気なくやっていたことが効果的なことだとしり嬉しくなったり、またこんな方法もあるのか!と新しい発見がありました。
全体的に書かれていることは誰でも実現可能な範囲内かと思います。もちろん最初は月に7冊は難しくても、月に1冊とかから初めてみるのもいいのではないでしょうか。また自分の本の読み方ってこれでいいんだろうか?という疑問を持たれた方も、1度読んでみると新しい発見があると思います。
私も良いなと思ったところはピックアップして、チャレンジしていきたいと思います!
よもやま話
アメリカの小説家スティーブン・キング。彼は自らの小説作法についてまとめた『書くことについて』(田村義進訳、小学館)の中で、次のように述べています。
「作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない」
(P49より引用)
良い文章を書くためには、たくさん読んで、たくさん書くこと。私は別段、文筆家というわけではありません。しかし、こうしてブログという形で日々、文章を発信しています。その道を極める!というわけではありませんが、少しでも良いものをお届けできるようになれたらと思っております。
ところで、文章を書いて対価を得る と言うと、12/1は文学フリマ東京でしたね。私は残念ながら用事が入ってしまい、行くことができませんでした。行かれた方は楽しまれたのかしらん?
実は、今回の文学フリマで販売された同人誌『汽水域』を通販でも購入できるようにしてくださりました❀
私は「水母の行列」というエッセイ(2本)と、挿絵を担当させていただきました。「文学フリマ東京には行けなかったけど興味がある!」という方は是非、見ていただけると幸いです! ↓こちらがエッセイのサンプルとなります
私はエッセイとして参加しましたが、他にも小説・詩・短歌・イラストなど様々なジャンルに触れることができます❀なくなり次第終了ということでございます。
誰かの1冊になれることを楽しみにしております。