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シンプリストになりたいのです

図書館のすすめ

図書館に最後に行ったのはいつですか?

日常使いされている方もいれば、調べものがあったときだけ使用する人もいれば、学生の頃以来使用していないという方もおられるであろう図書館。今回は元図書館司書である私なりの図書館 推しポイントを紹介したいと思います。

そもそも図書館って?

図書館に対するイメージってどんなものでしょう。この場合は公共図書館でイメージしてみてください。

たくさん本があって、薄暗く、静かで、物音をたてると怒られて、古めかしい本ばかりがあって、しかも内容は難しくて…といった感じでしょうか?昔の図書館はそうだったのかもしれません。しかしそれらにはそれなりの理由があるのです。薄暗いのは陽の光があまり入らないようにするため。陽を浴びると本は劣化してしまうし、背表紙の文字も飛んでしまう。また狭いスペースにたくさんの本を収納するとなると当然本棚は高くなる。そうすると外部からの光はさえぎられ 照明の光を頼りにするしかなくなるのです。静かなのは皆が集中して本を読む為。古めかしい本が多いのは図書館には本を広く収集する役割があるから。また、図書館の本は税金で購入させて頂いている本が多く(他に寄付金や寄贈などがあります)購入できる本には限りがあるのです。そのため古い本でも今でも知識として使用することができるのであれば使います。難しいに関しては、読んだことのない本はそう見えることが多いだけです。当然難しい本もあるけれど、そうではない本って意外と多いのです。哲学や心理学の棚は面白い自己啓発の本があるし、400番台の動物や植物、医学の棚もみていると結構楽しい。文学だって純文学だけでなく、最近ではラノベを置いている図書館もあるくらいです。

それに昨今の図書館はカフェと合体して読書をしながらコーヒーをいただけたり、窓も大きく明るいところが多いですよね。(元図書館司書として思うところはたくさんあるけれど!)そんなわけで図書館は、いろんな人に来ていただける工夫をしているのです。

私が思う'図書館'とはすべての人が平等に知識を得ることができる施設

図書館にとってはその人がもつ性別も年齢も出生も思想も 関係ありません。経済状況も学歴も関係なく使用することができるのです。

図書館は誰でも使えるラボラトリー

あなたにとっての図書館とは何でしょう?私にとっては「ラボラトリー」、研究室です。

基本的に図書館に所蔵されている本には、資料IDと日本十進分類法に基づいて決められた請求記号というものが付いています。人間で例えると資料IDがマイナンバーで、請求記号が住所といえばイメージしやすいでしょうか。請求記号という住所が与えられた図書はあるべき棚に並ぶようになっています。

では日本十進分類法とは?ですが、ジャンルごとに本がまとまるように決められた数字です。たとえば000であれば総記、010であれば図書館・図書館学と大きな括りになります。913であれば小説・物語。さらに近代(明治以降)に書いた小説であれば913.6、それが複数作家の作品集であれば 913.68とどんどん細分化されていくのです。勿論数字は覚えなくて大丈夫です。そういう仕組みで並んでいるのかということが伝わればOKです。

そんなわけで図書館の本というのは、1冊単位で探すこともできれば、大きなジャンルで探すこともできるのです。

例えば つい最近発売された小説「月の立つ林で」でが読みたければ、近代小説・文学(913.6)の棚を探しましょう。そして著者順の「青山美智子」の「あ」から探していきます。棚は左上から右へと続くように置かれているので、「あい」「あう」…と探していけばその1冊を見つけることができます。簡単ですね。

それだけではなく青山美智子さんの本がまとまっておかれているはずなので、同じ著者の本も知ることができるです。そしてすぐ横にある「お探しものは図書館まで」も手にすることができるでしょう。知らなかった本についても発見できるのが、こうして並んでいることのメリットでもあります。

また、あなたが「写真」に漠然と興味をもったとします。ならば740番の棚にいくといいでしょう。しかし写真にもいろいろありますよね。写真機器や撮影技術、他の写真集を見て勉強したい…様々です。ちなみに写真機器であれば742、撮影技術であれば743、写真集であれば748。まだ漠然とした興味の段階であればどれから読んで良いのかわからない!というのがあるかもしれません。機材を理解してから撮りたい写真を決める?いやいや、撮りたい被写体にあわせた機材を…etc…。なら、とりあえず棚全体を俯瞰でみて、気になった本を手に取ってブラウジングしてみるといいでしょう。そうして自分は写真で何をしたいのか考えてみるといいのではないでしょうか。

もちろんこれはインターネットでも簡単にできることです。しかし検索するには単語を知っていることが前提です。その単語や概念を知らなければ調べることはできないのです。図書館ではそういった「新しいキーワード」を収集するのにも役に立つのです。こうして一つのジャンルをどんどん深堀して研究していく、まさにラボラトリーというわけです。

 

ミニマリスト・シンプリストこそ図書館が便利

これは元 図書館司書だから言えるのかもしれません。現司書だったら胸が痛むかもしれません。しかしあえて言いましょう。図書館を自分の本棚として使えばいい と。

断捨離する対象に大量の小説や自己啓発本がある人はいませんか?はい、私です。1度読んで、また読むかもしれないし処分するのもなぁ、とはいえ今読むわけじゃないんだよな と思っているのであれば、図書館で所蔵しているかどうかを見てみるのも手です。

ここからは私の経験ですので、お住まいによって変わる可能性があることだけご了承ください。私が在住していた県内の図書館では可能だったということを付け加えたいです。

まず断捨離したい本を選びます。その中でも処分するか悩んでいる本があるのであれば、その本を「横断検索」で調べるのです。私の場合は県立図書館のHP内に県内の図書館で所蔵している本を調べることができる横断検索があったのでそれを利用していました。だいたいは県内のどこかしらの図書館が所蔵しています。自分が普段から利用している図書館であれば、即断捨離対象。そうでなければ県内の所蔵状況を確認し、相互貸借が可能かを確認します。相互貸借が可能であれば、これも断捨離対象となります。そうしていって、どこも所蔵していない本だけが残ります。その本がもし、買い直してでも読みたいと思うのであれば保留BOXへ。しばらく置いてみてやっぱり必要であれば棚に戻すし、そうでなければ断捨離します。経験上殆どの悩んだ本たちは断捨離対象となって古本屋に旅立っていきました。

さてここで、相互貸借とは何か?ですが、簡単に言うと図書館同士でも本の貸し借りができる ということです。普段利用している図書館に読みたいと思っている「〇△◇」という本が所蔵していなかったとしても、その図書館が協力しあっている図書館のどこかで所蔵があればそこから「〇△◇」を借りてくることができます。貸出に条件があったり、館内のみでの利用であったり、制限はあるかもしれませんが、それでも「知識」を得る手助けになることに違いはないでしょう。協力範囲はそれぞれですので、ご利用の図書館に確認してみてください。当然国立国会図書館政令指定都市の図書館から借りてくることもできますが、それは図書館ごとにいろいろあると思いますからいったん置いておきましょう。また資料の条件・種類によっては相互貸借ができないこともあるので、そこはご了承ください。

こんな感じで私の場合は相互貸借が可能な地域の図書館全てが制限付きではあるものの「自分の本棚」として利用することができるのです。所蔵数はいったい何冊になるでしょう。夢のような本棚だと思いませんか?

 

図書館は最大の娯楽施設

図書館の滞在時間ってどれくらいですか?

私はだいたい1度で1時間程度。お散歩のついでによっているという感じです。公共図書館で働きはじめた当初、利用者である皆様の利用時間が大変長くて驚きました。朝 開館して少しして来館され、お昼頃に「ちょっとご飯たべてくるわ~」と出ていかれ、暫くして「ただいま~」と帰ってこられ、閉館少し前に「またくるよ~」と帰っていく方の多いこと。これがご老人だけでなく、学生さんもおられるし、土日であればお子様連れの親御さんでも当てはまるのです。皆様、それぞれの楽しみ方があるようです。

私が勤務していた図書館にはDVDやCDも所蔵しており、それを再生することも可能でしたし、ファッションや趣味の雑誌、その日の新聞、小説、絵本と図書館ならではの資料を所蔵していました。要はいくらでも楽しむものがあるというわけですね。

それに月に1度はおはなし会があって子どもたちや保護者の方が参加することができたし、ちびっこに紛れては恥ずかしい…という方でも参加できる おとなのおはなし会も開催されていました。定期的にイベントもしていて、私は1年間工作教室を担当してお子さんからマダムまで年齢様々な方々と工作をすることができました。

↑自宅でちいさなお子さんでも作れて、年齢関係なく楽しめる物は何だろうと試行錯誤してつくった かぶととこいのぼり。こういった活動はまたしたいです。

こんな感じで図書館では短時間だけでなく、ゆっくり楽しむこともできるのです。読書するもよし、図書館資料で勉強するもよし、自習スペースであれば自習するもよし、DVDや雑誌を楽しむのもよし…etc…。

昨今の物価上昇や電気代の高騰…家にいるだけでもお金がかかる今日この頃です。図書館では冷暖房完備されているし、コロナの制限が解除されてきた今、それぞれの図書館での対策の範囲内で楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。

まだまだ紹介したいことはたくさんありますが、今日はこのあたりで。図書館があなたのちょっとした助けになれば、私は図書館司書としてとても嬉しく思います。